407限目 ページ14
「さて、さて、さーてと」
スラグボーン教授がそう言った。彼はにっこりとほほ笑みながら、辺りを見渡す。
「みんな秤を出して。魔法薬キットもだよ。それに『上級魔法薬』の……」
「先生?」
先生がおっしゃっているときに、ポッターがおそるおそる手を上げる。隣に座っていたダフネが、機嫌悪げに鼻を鳴らす。
「ハリー、どうしたのかね？」
「僕、本を秤も何も持っていません。＿＿ロンもです。＿＿僕たちNEWTが取れると思わなかったものですから。あの＿＿」
「ああ、そうそう。マクゴナガル先生が確かにそうおっしゃっていた。心配には及ばんよ。ハリー。全く心配ない。今日は貯蔵棚にある材料を使うといい。秤も問題なく貸してあげられるし、教科書も古いのが何冊か残っている。フローリシュ・アンド・ブロッツに手紙を注文するまでは、それで間に合うだろう……」
そう言うと先生はその棚にまで歩いて行き、くたびれた上級魔法薬と黒ずんだ秤、今日使うのであろう材料を持って来て、二人に渡す。
そして元居た場所に戻って行って、人よさげにまた笑った。
「さてと。みんなに見せようと思って、いくつか魔法薬を煎じておいた。ちょっと面白いと思ったのでね。NEWTを終えたときには、こういうものを煎じることができるようになっているはずだ。まだ調合したことがなくても、名前ぐらいを聞いたことがあるはずだ。これが何かわかるものがおるかね？」
「真実薬。去年スネイプ先生がおっしゃっていたわ」
ダフネが小さな声で僕に言った。
ほとんど同時に、いつもの通りグレンジャーが勢いよく挙手する。先生はにっこりと笑いながら彼女をあてる。
「真実薬です。無色無臭で、飲んだ者に無理矢理真実を話させます」
「大変よろしい、大変よろしい！」
楽しそうに授業を展開させていく先生。優しそうな先生に見えるけれど、一体どんな先生のなのだろう。こんなにも平和に終わって行く魔法薬学の授業は初めてだ。以前までは例の彼だったから、教室中はピリピリしていたのだ。
ダフネは言っていた限りでは、どうやら魔法薬学ではすごい人らしい。過去にホグワーツの先生をなさっていたとか。
魅惑万能薬の説明を僕は聞く。誰か、まっとうな人が、例のあの人にこの薬を飲ませればいいのにと、ぼんやりと考える。そうすれば、あの人はその人に夢中になって、戦争など起こらないだろうから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 485人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんころころもち@多忙(プロフ) - 宮野 ミヤさん» お久しぶりです。ありがとうございます✨私も恋愛からの葛藤が大好物です。おそろですね笑 あうっごく遅い更新ですけれども、お付き合いいただいてすっごく嬉しいです。完結だけはさせる気でおりますので、ぜひよろしくお願いします！ありがとうございました！ (2022年10月2日 9時) (
レス) id: 8fbdbf2cf0 (このIDを非表示/違反報告)
宮野 ミヤ(プロフ) - Part10お疲れ様でした！今Partも楽しく読ませて頂きました、恋愛からの葛藤めっちゃすきです！これから応援してます！！ (2022年10月2日 3時) (レス) @page50 id: 928a7d13f2 (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち(プロフ) - 雪城さん» ありがとうございます〜！一気だなんてお時間をめちゃくちゃ取らせてしまった気が……。読んでいただいて嬉しいです、ありがとうございます！！ (2021年12月17日 21時) (レス) id: e2b3768714 (このIDを非表示/違反報告)
雪城(プロフ) - 面白いです…！！Part1から一気に読んでしまいました！！更新応援してます！ (2021年12月17日 21時) (レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち(プロフ) - 架印�靴気�» 教えていただいてありがとございます〜、そちらも覚え違いです…。時間はかかると思いますが、ちょっとずつ直していきます！改めて教えていただいてありがとうございます〜！ (2021年12月12日 18時) (レス) id: e3a1ddbb66 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年12月5日 15時
