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さて、それから2日経ち、僕らは汽車に揺られていた。ぼんやりと窓の外を見ながら、いろいろなことを考えていた。
のどかな畑が、疲れた僕の心になんの障害もなく入り込む。
「A」
「ん、なに？」
「何か買うものはある？ほら、隣に車内販売が来ているわ」
「ああ、じゃあ……蛙チョコでも食べようかな」
「そう」
しばらしくてやってきた車内販売に、ダフネが注文してくれる。僕はその姿を数秒見つめた後、セオドールに目をやった。
ばちりと、視線が合う。
「……あのさ、セオドール。ダフネ」
車内販売のおばさんがゆっくりと去って行ったあと、僕は口を開いた。
「僕、決めたよ。死喰い人にはならない」
「……」
「僕はきっと、人を殺せない。やりたく無いことは、絶対にできない。たとえ周りに何を言われても、僕はそれを決断しないことに、決めた」
僕はそう言って、少しだけ微笑んだ。
あの、人を殺すことをなんとも思えない人たちの、仲間にはなりたくない。何の罪のない人を、殺すことなんて、きっと僕にはできないから。
そう言った僕に、セオドールやダフネは笑って見せた。
「まあ、あなたらしい決断だわ。安心した。無理はしてほしくないもの」
「ああ。これが君の人生で、最も大きな決断になるかもな」
「まだあるわ。ほら、あの子」
「……ああ、そういえば、そうだったな」
「うん、グレンジャーとも、来学期は交流を持たないようにするよ。けじめをつけなきゃ。それが僕のためで、彼女のためだ。僕は僕の正しいと思うことを、ただ、やる。決断できずに、うずくまっているだけだなんて、もう嫌だ」
ポッターと話したあの日、僕はもう決めていた。いつまでもずるずると引きずるのは、かえってグレンジャーにも失礼だとも思っている。
それが正しい選択なのか、僕にはわからない。でも、何か一歩ずつでも進んでいかなくてはいけないと、気づくことができたのだ。
心に残ったわだかまりが、ぶつけられない怒りが、消えたわけではない。
でも、それでも僕は、何かをしなければ、ただこの場に一人だけ、残されてしまうような気がしてならなかったのだ。
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年9月20日 0時
