蛇の老婆 ページ36
レイチェル・ロジエールのことは、嫌いであった。自分と似た境遇だったからだろうか。いつも誰からも忌み嫌われる哀れな子ども。そんなふうに自分が思われているとわかっているからこそ、そんな境遇に抵抗しない彼女が、なんだか憎らしかったのだ。きっと。
だからこそ、彼女といて話すことなんてなかった。一ミリたりとも。だからその日も、いつものように深い沈黙に包まれていたのだ。
「ねえ、あの、べす」
「名前で呼ばないでちょうだい」
「あ、ごめんね」
オドオドした態度が気に入らない。血筋でバカにされたことのない、異常者として扱われないあなたが、どうしてそんなにも自信を持っていないのか。
不思議で不思議でたまらなかった。彼女という存在が。
そもそも私は、先生に救われるまで、両親にひどい虐待を受けて育った。いつも殴られ、暴言を浴びせられていた。逃げ場がないことを知っていた。諦めていた。
でもあなたは、そんな目に合っていないでしょう。両親に殴られたことはないでしょう。首を絞められたことはないでしょう。毎日三食食べられて、ご飯に困ることなどないでしょう。近所の子どもに石を投げられたことはないでしょう。友達が殺されたことはないでしょう。なんで、そんなに自信がないの。あなたはいろんなものを持ってるじゃない。
「……」
「メルとは、ずっと仲良しなの？」
「関係ないじゃない」
「……」
落ち込んだように下を向く姿。嫌いだった。まるで私が意地悪をしたみたいじゃない。今考えれば意地悪そのものなのだけれど、当時は生き残ることに必死だったのだ。
「メルとは、ここに来てからの親友よ」
「そうなんだ。二人が羨ましいわ。だって、私はそんなお友達いないもの」
「はあ？」
この女の、こういうところが嫌いだった。私は彼女をひどく睨む。そうすれば彼女は、怯えたように私を見上げるのだ。
「メルはあんたを親友だって言ってたわ。メルの気持ちを、踏み躙るつもり？」
「……あ、その」
「それに、私だってあんたの友達よ。仲良しよ。メルが言ってたもの」
「……そっかあ」
嬉しそうな顔が、理解できない。私はその控えめな笑顔を見て、非常に困惑して、だけれど少し安心するのだ。
自分は口調がきつい上に、その加減すらわからないから。
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あんころころもち@多忙(プロフ) - マニ。さん» ありがとうございます🫶 そのお言葉を励みにがんばります！ (3月7日 2時) (
レス) id: e53fc357d1 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - あんころころもち@多忙さん» ✉️。こっちの作品も面白いです！後だと茶番の方とか遅れてごめんなさい💦、これからも更新応援してます。☺️ (3月5日 21時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち@多忙(プロフ) - あまねさん» やたーーーありがとうございます❤️ (9月16日 15時) (レス) id: 59f64f1814 (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち@多忙(プロフ) - ｴﾇｴﾇさん» ありがとうございます☺️しっかり闇の帝王なヴォルさんを作りたいがための作品です！読んでくださってありがとうございます〜❤️ゆっくりな更新ではありますが、よろしくお願いいたします🙇 (9月16日 15時) (レス) id: 59f64f1814 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - たああああああああすき (9月9日 16時) (レス) @page37 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年8月25日 18時
