獅子の英雄 ページ31
「あんたは、いやじゃないのかい」
しばらくして、憂いの篩を見つめながら、ゴーントさんは言った。視線はこちらを向いてはおらず、まるで独り言のようだった。僕は思わず聞き返す。
「え？」
「……」
長く、シワの刻まれた手が、ゆっくりと水面を横切った。さわさわと水が揺れる様を、彼女はじっと見つめている。
「あんたの正義は、どこから来るんだ。親を奪った男への復讐かい？あんたをこの世界で戦わせることを始めから決めていた男への恩義か？」
「……」
なんと返せばいいのか分からず、僕は口を閉ざす。それら二つが違うということだけはしっかりわかっているけれど、自分の決意を、どのように言語化すればいいのか分からなかった。
それを見かねたのか、ゴーントさんは続ける。
「……フン。かわいそうな子供だよ。明確な意思もないまま操り人形か」
小馬鹿にするのとは少し違う。とにかく、なんだか憐れむような、形容し難い視線。僕が口を開く前に、やっぱりゴーントさんは続けた。
「いいかい、小僧」
一歩、彼女はこちらに近寄る。人差し指を突き立てて、咎めるように言う。
「引くなら今だ。何もかも諦めるのが、正しい時もある。あんたの親だって、あんたを死なすために産んだわけじゃなかろうよ。あたしゃね、自己犠牲ってやつがこの世で一番嫌いなんだ」
「そんなんじゃない」
「聞こえないよ！あたしゃ小僧の何倍も生きてんだ。ハキハキ喋りな！」
「そんなじゃないって言ったんだ！自己犠牲なんかじゃない。僕は一度だって、今までの行為を犠牲だなんて思っていない！勝手に決めるな！」
大きな声で怒鳴る。そうすればゴーントさんは、少し驚いたように僕を見つめた。そして数秒後、顔を顰めて視線を逸らす。
「ハッ！クソガキが。あたしはあんたより何倍も生きてるってのが聞こえないのか。敬語を使いな、敬語を」
「嫌だ！」
「なんだと！これだからガキは嫌いだよ」
「あなたは、何もかも諦めてるからそんなふうに言えるんだ。僕は違う。諦めたりなんてしない。僕やみんなの未来のために、努力をするだけだ」
「……」
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あんころころもち@多忙(プロフ) - マニ。さん» ありがとうございます🫶 そのお言葉を励みにがんばります！ (3月7日 2時) (
レス) id: e53fc357d1 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - あんころころもち@多忙さん» ✉️。こっちの作品も面白いです！後だと茶番の方とか遅れてごめんなさい💦、これからも更新応援してます。☺️ (3月5日 21時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち@多忙(プロフ) - あまねさん» やたーーーありがとうございます❤️ (9月16日 15時) (レス) id: 59f64f1814 (このIDを非表示/違反報告)
あんころころもち@多忙(プロフ) - ｴﾇｴﾇさん» ありがとうございます☺️しっかり闇の帝王なヴォルさんを作りたいがための作品です！読んでくださってありがとうございます〜❤️ゆっくりな更新ではありますが、よろしくお願いいたします🙇 (9月16日 15時) (レス) id: 59f64f1814 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - たああああああああすき (9月9日 16時) (レス) @page37 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2021年8月25日 18時
