蛇の僕と獅子の君。Part 8【ハーマイオニー・グレンジャー】 (ページ48)

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それから、何度グレンジャーがもう少しですと言ったかわからない。大きな物音を立てながらずんずんと進んでいくグレンジャーたちの後を、アンブリッジを助け起こしながら必死で追う。

「あとどのくらいなんですか？」

「もうそんなに遠くないです！もうほんのちょっと！」

　グレンジャーがそう言ったとき、ビュンと一本の矢がグレンジャーの頭上の着に突き刺さった。アンブリッジは悲鳴を上げ、ポッターを盾にしようと自分の前に押し出す。しかし彼がそれを振り払ったから、今度は僕を突き出した。

「け、ケンタウルスだ」

　思わず呟く。占い学の新任のフィレンツェ先生はこの前見たけれど、群れを見たのは生まれて初めてである。僕はちらりとグレンジャーたちを盗み見る。一体、どういうつもりなのか。

「誰だ！」

　アンブリッジは恐れたように僕の後ろでひいひいと喘いでいた。息が腕にかかって、なんだか気持ちが悪い。

「誰だと聞いているのだぞ、人間」

「わたくしはドローレス・アンブリッジ！魔法大臣上級次官、ホグワーツ校長、並びにホグワーツ高等尋問官です！」

「魔法省の者だと！？」

　ケンタウルスがざわざわと騒ぎ始める。そういえば、ヴィオラがケンタウルスの多くは魔法省を嫌っていると言っていた気がする。

「そうです！だから、気をつけなさい！魔法動物生物規制管理部の法令により、おまえたちのような半獣がヒトを攻撃すれば＿＿」

「我々のことを何と呼んだ？」

「この人たちのことをそんな風に呼ばないで！」

　ケンタウルスの持つ弓が、キリキリと音を立てる。グイっと、また体が彼らの方へ押し出される。さすがに少し、命の危機を感じるのだけれど。

「法令第十五号『B』にはっきりと規定されているように、『人に近い知能を持つと推定され、その故その行為に責任が伴うと思慮される魔法生物よる攻撃は＿＿』」

「ヒトに近い機能？」

　一番偉そうなケンタウルスがうなった。周りのケンタウルスたちも蹄で地面を蹴る。逃げ出したくてたまらない。どうしてこの人は、こんなにも煽るようなことをするのだろうか。