蛇の僕と獅子の君。Part 8【ハーマイオニー・グレンジャー】 (ページ34)

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「それに全部私のせいにした。お皿が割れたのだって、写真が落ちたのだって、全部全部。私はあの子のために全部を我慢しているのに、あの子は私に迷惑をかけることを楽しんでいるの。ずっとずっと、あの子のことが大嫌いなの」

　彼女は本から手を離した。いつの間にか力が入っていたのか、しわが寄っている。それをてのひらで伸ばし始めた。

「あの子が入学してきたとき、私は一人になるって思ったわ。あの子は愛嬌があるし、私なんかよりかわいいし、あなたたちも、きっとあの子が好きになるって思ったもの」

　そう言うと、彼女は顔を上げて僕を見た。そしてにっこりとほほ笑むのだ。

「でも、あなたは私のそばにいてくれた。重いかもしれないけど、あなたが私を選んでくれたことで、少し、心が軽くなったわ。パンジーのことも、全部、あなたのおかげ。ありがとう、A」

　そう言うと、彼女は少しだけ照れたように僕に本を押し付けて、パーキンソンのところに歩いて行った。

「なんていうか、ドキドキしちゃうよね、あんなこと言われちゃうとさ」

「……は？」

「冗談じゃん。そんなに引かなくても。ていうかさ、アストリアって、まるでダフネが言ったとおりの子には見えないよね。むしろ、底抜けに明るくていい子って感じなのに」

「まあ、あれに関しては、どっちもどっちだろ」

「え？」

「まあ君よりはグリーングラス家には詳しいんでね」

「……えっ、急にマウントとるじゃん。この前もだったけど」

　僕はパラパラとダフネに押し付けられた本をめくる。先ほどのページは血の呪いの解除の方法を研究する職業だったらしい。

「研究者か……それもいいね。僕、それなら吸魂鬼を人に直す研究がしたいや」

　その時心に浮かべたのは、レギュラスさんの友人らしい、バーテミウス・クラウチ・ジュニアさんのことである。