蛇の僕と獅子の君。Part 8【ハーマイオニー・グレンジャー】 (ページ33)

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僕はちらりと彼女を見上げる。そうすると、バチリと視線が合った

「なに」

「いや、その、あー、えっと」

「……聞きたいなら答えてもいいわよ。あなたも前に話してくれたわけだし、フェアじゃないもの」

「えっと、じゃあ、血の呪いについて聞いてもいい？」

　この半年ほど、僕も図書室などで調べてみた。血の呪いにもいろいろ種類があり、2、3代でなくなる呪いもあれば、何代もの間続くものも、男性だけに向けられた呪い、女性だけに向けられた呪い。または病弱であるもの、体が動物に代わってしまうもの。

　種類は多種多様らしい。

「うちの先祖、とある魔法使いに血の呪いをかけられたの。先祖が受けた呪いが代々伝わるっていう粘着質この上ない呪いをね。解決法は、今のところないのね」

　彼女は本を見つめながら言った。

「うちの呪いは、主に女性のみが伝わる呪いなの。だからグリーングラスの女性はみんな早死。長くても30手前には死んじゃうわけ。だけど驚くことに、私はその呪いが全く持って遺伝していないのね。ぴんぴんに元気なの。風邪だって滅多にひかないくらい。だけど、アストリアは違うわ」

　彼女の声のトーンがわかりやすく落ちた。ふと上げた視線の先には、アストリアがアラクネと、楽しそうに話している。

「あの子は一族の中でも強く呪いを受けているの。だから小さいころから、いつも熱を出していた。今は魔法で抑えているけれど、そうでもしないと授業だって滅多に受けられないくらい」

「わかってるの。あの子を一人にしてはいけないことくらい。わかってるわ。神経を使って世話をしてあげなきゃいけないくらい。全部全部わかっていたけれど、それでも、小さい私には耐えられなかったんだわ。優先されるのは全部妹。私はお姉ちゃんで健康体だからいつも我慢。わかってるわ。優しい姉ならそれを許さなきゃいけないの。笑って妹の世話をしなきゃいけないの。でも、私は優しい姉にはなれなかったの」

「あの子、私に何をしても両親が怒らないのを知っていたから、いろんなことをしたわ。お気に入りのドレスだってとられたし、いつも抱きしめて寝ていたテディベアだって、……親友だってとられたもの。ああパンジーのことじゃないわよ。一つ上の、あなたは多分知らないわ」