蛇の僕と獅子の君。Part 8【ハーマイオニー・グレンジャー】 (ページ15)

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「ウィズリーってさ、どうしてあれで選手になれたんだろう」

　さてそれから、少し時間が経過し、クィディッチの試合の日である。僕は箒にまたがって、ゴールの前で振り回されているウィーズリーを見つめていた。

「さあ、なんでだろうな。ポッターのコネじゃないか？」

　隣でエイドリアン・ピシューが答えた。ウィーズリーは彼の赤毛と同じくらい顔を真っ赤にさせ、ゴールの前で暴れている。上手、下手の前に、あがって動けないのなら、正直クィディッチには向かないだろう。

　もっとも、この下品な歌のせいでもあるだろうけれど。

「歌がうるさくて集中できないや」

「同意。だけど全体の士気は上がっているからな、我慢しろ」

「うん」

　おしゃべりを終わらせ、僕らは真面目に試合に参加し始める。スリザリン生の歌う不快な歌を遮断し、まっすぐとボールを見つめた。一点くらい入れておきたい。

『ウィーズリーは守れない！
万に一つも守れない！

だから歌うぞ、スリザリン！
ウィーズリーこそ我が王者！

ウィーズリーの生まれは豚小屋だ！
いつでもクアッフルを見逃しだ！

おかげで我らは大勝利！
ウィーズリーこそ我が王者！』

　ドラコや、主にエイド以外のスリザリン選手は確かに馬鹿にしたように笑っている。こんな出生を馬鹿にしたような歌、何がいいのだろうか。他の歌詞の部分は百歩譲って作戦としてはいいかもしれない。さすがドラコというか、思いつく歌詞が陰険である。

「はぁ」

「真面目にやれ！ブラック！」

　しかしみんなハイになっているのか、真面目にやっていない僕をまともに怒りはしない。さっきの怒声だって顔は半分笑っていた。こんな試合、勝ったって嬉しくないだろうに。僕はまともな勝負がしたいのだ。そもそも真面目にやるとは彼にとって僕の真面目にやると同じ意味なのか少し気になる。

　もっとも、チート級でクィディッチのうまい彼を前にしたら、勝負が決まってしまって楽しくもくそもないのだけれど。僕は箒をクアッフルへ向けた。さて、そろそろ真面目にしようか。