審神者の正体 ページ9
燭台切side
僕たちは、大広間に呼び出された。よほど大事なことなのかな?
「おまたせ」
麗音くんが入ってきた。
「みんなも薄々気付いてたかもしれないけれど、僕は、実は・・・君達と同じく人じゃないんだよ」
「えっ・・・?」
「人を食らう狼・・・人狼なんだ。僕はそんな酷いことはしないけど」
その場に沈黙が流れる。
「僕のことを、吸血鬼とか鬼とか言う人もいて、身内からも嫌われまくって・・・毎日のようにいたぶられてた。
毎日のように、死ぬ方法を考えてた。・・・死ぬことすら出来ないってわかってるのに、バカだよね。でも、それくらい辛かったんだよ」
麗音くんは淡々と続けた。
「両親は、僕がまだ小さい頃に死んだ。他のみんなから、自分が殺したって聞かされたんだ。そうしたおぼえなんてないのに・・・」
「もういい、喋るな」
三日月さんが制止の声をかけた。
「でも・・・」
「なぜ,打ち明けた?思い出して辛い思いをするのは自分だろうに」
「亀甲がここに来た日、言ったんだ。それで、もっと詳しく聞かせてほしいって・・・」
「亀甲、それは本当か?」
三日月さんの質問に、亀甲さんが頷いた。
「なぜ聞こうとした?主の気持ちを考えてなかったのか?」
「違う、そんなつもりじゃ・・・」
「何が違う?」
三日月さんが足元にあった本体に手を伸ばした。
「三日月、やめて」
麗音くんがやめるように言った。
「亀甲も、悪気があってそんなこと言ったんじゃないと思うんだ。だから、許してあげて」
三日月さんが本体を鞘にしまって足元に戻した。
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作者名:袖の雪 | 作成日時:2018年8月10日 21時