昔の自分 ページ15
しばらく鏡の前で無意識に傷を撫でていた。
するとほんの1分間で、先程まで血が出ていたはずなのに、傷が消えていた。
不思議には思わなかった。
夢でもなかった。私の手には血が着いていたから。
その血を見た時、私は頭に鈍い痛みを感じた。
そして目の前が光って、次の瞬間には
私は私を見ていた。
?
そうか、そういうことか。
私が今見ているのは、記憶を失う前の幼い私。
杏寿郎の家の庭だろう所で、杏寿郎と私、2人でしゃがんで何かをしている。
私は、泣いていた。
杏寿郎はそれを慰めるように、背中をさする。
杏寿郎が何かを口にする。
私は、笑顔になった。
こんなにも他愛もない風景を見ているのに、私の気持ちはどこか違うところにいて、
突然しゃがんでいた私が、何かを思い出したように立ち上がって走り出した。
それを、無意識に追いかけた。
走っていた私は突然とぼとぼと歩き出した。
なんなんだろう?
昔の自分なのに、情緒不安定さに腹が立ってきた。
今の自分には言えたことじゃないが。
私は、自分の家だろうか。
家らしき所に入っていって、
そして、また、泣き声が聞こえた。
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作者名:ベリコ | 作成日時:2021年3月10日 20時