歌って、踊って、恋をして。【アイドルマスターsideM】

９.帰路 ページ10

Aside


A「…す、すいません、恭二さん…私の所為で、バスになってしまって…」




恭二「…いや、大丈夫だ」




そう、私が恭二さんを引き留めたが為に、帰りはバスで帰らなければならなくなったのだ。
恭二さんはまだあまり有名では無いとはいえ、アイドルという存在である以上、目立つ事は避けなくてはならない。




A(どうしよう…突然の事で怒ってないかな…？さっきからずっと黙ってるし…)




私がオドオドしていると、恭二さんがぽつりぽつりと、話し始めた。




恭二「…俺は、笑顔は苦手だし、周りの奴等みたいに、上手く話せる訳でもないから…アイドルに向かないかも知れないけど…俺なりにやってみるから、宜しくな。A」




A(恭二さん…もしかして…)




気を使ってくれたのかな…？
でもそれ以上に、恭二さんが胸の内を語ってくれた事が嬉しかった。




A「…はい！恭二さんのその素敵な笑顔を、ファンの皆さんに沢山見せてあげて下さいね！」




恭二「…ああ」




一瞬こっちに振り返った恭二さんは、また外の景色を見てしまった。




A(あれ…私、また何か変な事言っちゃったかな…)




A「あの…恭二さん…？」




恭二「あ、悪い…その、あんまり褒められるのに、慣れてなくて…」




A(あ…)




少し考えながらそう告げた恭二さんを、また可愛いと思ってしまった。




A「ふっ…恭二さんも、そういう顔するんですね」




恭二「…笑うな」




A「ふふっ…すいません…！」




また新たな一面を見れた事が嬉しくて、思わず笑ってしまったら、恭二さんはやれやれという感じで、微笑み返してくれた。




A(やっぱり、格好良いな…)




改めてそう思い、恭二さんを見ると、恭二さんは不思議そうに首を傾げた。
私が「何でもないです」と言うと、「そうか」と言って、また会話が続く。

その後は、２人で他愛の無い話をしながら、バスに揺られた。

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