動物化とかまじわろたンゴ。

#10 人と鳥とチキンレース。 ページ10

「コナンくんも何か飲むかい？奢るよ」

「え？うーん…じゃあ、オレンジジュースで」

「オーケー。」


頬杖をついたコナンくんは何故か私に構ってくれて、私は傷付けない程度に彼の指先に甘噛みなんかをしていた。くるるるる。くるるるる。やべえさっきから私の喉すげえ鳴る。

今のコナンくんの表情はといえば、ぼんやりと猫の頭を撫でる飼い主のように思案げだ。どうしたんだろうかと指をくわえたまま小首を傾げると、彼はくわえられていた指を引いてその指先で私の頭を撫でた。


「なんだ、思ったより構ってやってるじゃんか」

「うーん。なんか、相手が鳥だと警戒するのも意味がない気がしてきた」

「そーだろーそーだろー。諦めてAを可愛がっちゃえよ」

「世良お姉ちゃんは可愛がりすぎだと思う。」

「だってこんなの可愛くないわけないだろ。なーAー」

「カー」


最初は奇異の目を向けてきた周囲も、時間が経つにつれて眼差しが柔らかくなっていく。

真純さんに撫でられてくるくる喉を鳴らせば、彼女は嬉しそうに笑って私の嘴にキスをした。うおっ、流石真純さん大胆！


「はー、かわいい。」

「…飼えばいいのに。飼わないの？」

「飼わないよ。なんとなく、Aは自由が似合うような気がするんだ」

「…まあ、ね。大空を飛べるのに飼い縛るのも可哀想か」

「そういうこと。」


うーん。まあ、飼われてもいいっちゃいいんですけどね。そうなると、ほら。きちんとカラスの飼育の仕方調べちゃうじゃないですか。食べられるのに食べられなくなるのは惜しい。ハンバーグ食べたい。真純さんそういうのマメそうだからなあ。


「キャーッ！ひったくりよぉお！誰か捕まえてええ！」


なんだと？それは聞き捨てならんなあ。

ぶわっと羽を広げて飛翔する。「うわ、」と真純さんの驚いた声が聞こえた気がしたけどそれはさておき、だ。如何にもなひったくりの正面に向かって飛び、スピードを乗せたまま滑空する。


さあ、ひったくりさん。私とチキンレースをしようじゃないか！この大通りに横道なんて存在しないぞ！！！


「っんな、カラス？！ちっ、くしょ！」


逃がすか！

ひったくった鞄を振り回すように走る奴の隙を突き、鞄の取っ手を両足で掴んで取り上げる。


「あ、ちくしょうッ！」


よーし、取り返したりぃ。

…え、ひったくり？カラスの図体じゃ捕まえられないかな！ま、鞄取り返せたから被害なしってことで。持ち主さーん鞄ベンチに置いときますよー。

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