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#15 それでも私は愛してる。 ページ15

コナンくんが真剣な目をして私をじっと見つめる。コナンくんからしてみれば、疑いの矛先が私に向かうのも無理ないって話だ。だってこのリボンは間違いなく真純さんが私にプレゼントしてくれたもので、そうして、真純さんが私に結んでくれたままになっている。

こぶ結びの状態もそのままなんだ。


「……コナンくん、どうしたんだい?」

「…このリボンは元々は僕の知り合いのお姉さんがカラスにプレゼントしたものなんだ。油性ペンでAって書いて、こぶ結びしてやったって教えてくれた」

「……それは…つまり、これが?」

「間違いないよ。だって、僕は今日のお昼にこれを見たばっかりだったんだ。つい最近見た印象的なものを忘れるはずないでしょ?」

「確かに……でも、そうなるとこの子猫が、そのカラスだと?」

「…理屈は分からない。でもそうとしか思えないんだ。状態が全く一緒なんだよ」


ああ、そうだ。そりゃそうだ。そのカラスもこの私も私なんだから。

隠す必要があるのか?誤魔化す理由があるのか?嘘をつく意味があるのか?

どうして?私は彼らを愛しているのに。


私は姿を変えた。彼らの、目の前で。

私の変身は目の錯覚かと思えるように瞬間的で、それこそ夢のように突発的で。


私は二人の手の中から離れ、すぐ側のゴミバケツの蓋の上に着地する。二人は目を見開いたまま私を凝視する。私も二人を、ただ沈黙を守って見つめ返した。二人の傍から逃げはしない。捕まえようと思えば捕まえられるよ。麻酔銃を撃てば一発だ。


「…おかしいと思った。あのときお前はひったくりから鞄を取り返した。誰がひったくりなのか分かってた。取り返すべきが鞄だったことを分かってた。ひったくりが悪い奴だってことも分かってた。お前は人の言葉も、人の理屈さえも理解しているんだ。」


ああ、そう、そうだよ。私は分かってた。ひったくりが泥棒だってことも、それが誰かも、盗られたのが女の人だったことも、盗られたのが鞄だったことも分かってた。理解出来た。

だって私は元々は人間だったから。……私には伝える術もない。ましてそれを伝えたところで、一体何がどう変わるだろうか。コナンくんは私に警戒心を抱いてしまった。安室さんは最早硬い表情を浮かべている。伝えてここから何が変わるだろう。それが何故なのか、私は何も知らないのに。


愛してるから愛されるとは限らない。それが愛というものだ。

ままならないから愛は尊い。簡単でないからそれは眩い。

#16 それはある種の無償の愛か。→←#14 私の全ては貴方達が為に。



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たろ。(プロフ) - 作者さん才能ありすぎ…語彙力あるから見ててほんと面白いです!更新待ってます! (2022年3月8日 21時) (レス) @page22 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - 🛐テェテェ、、、 (2022年2月19日 13時) (レス) @page22 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
はく(プロフ) - 好きすぎて爆発しそうです← (2021年8月29日 4時) (レス) id: 26d8dd33a4 (このIDを非表示/違反報告)
ホリゴタツ(プロフ) - 兵隊ごっこが好きです。九官鳥になったら会話ができたりするのでしょうか?そのうち大きな動物になってキャラを背中に乗せたり!白馬に乗った安室さんとか妄想が止まらなくなりました。 (2019年4月7日 2時) (携帯から) (レス) id: 5d045b778c (このIDを非表示/違反報告)
臨海林檎(プロフ) - 面白すぎてもう何回見返したかわかんないです。続き全裸待機してます。私もカラスを愛でたかった、雀も…(´・ω・`) (2018年11月11日 21時) (レス) id: 8a0a48b25e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アニマ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年1月23日 22時

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