【ハイキュー】仮面をつけた天才３

番外編４　夜久side ページ44

逃げるように去っていったAの背中を見て思う。


俺、何かしたか？


どうもここ最近避けられている気がする。


目を合わせてもくれないし、Aから話しかけてもらえることも減った。


やはり気づかないうちに何か気に触ることをしてしまったのだろうか。


もしそうなら謝って今まで通りに戻りたいが、何せ心当たりがない。


「やっくん、何難しい顔してんのー？」


「…黒尾」


いつのまにか後ろに来ていた黒尾に、藁にもすがる思いで相談する。


やはり、好きな人に避けられるのは辛い。


「あー…」


話を聞き終えて苦笑いをした黒尾。


何か知ってんのか？


「A、意外にこういうのは不器用なのねぇ」


「は？」


「いや、こっちの話。

なんなら夜久、告白してきちゃえば？」


「…は？」


告白？


いやまぁ、いつかはしなきゃと思っていたけど…。


「避けられてるのに？」


「んー、まぁ、とりあえず2人で話してきたらどーよ」


「…そうだな」


黒尾にお礼を言ってAの部屋へ行く。


「A？」


ノックをしてみるも返事がない。


いないのか？


そう思いつつドアを開けて中に入ると、壁に寄りかかって気持ちよさそうに眠るAの姿があった。


思わず彼女に近づき、頬を撫でた。


窓から入ってくる風が彼女の髪を揺らし、とても綺麗だった。


なぁ、なんで避けるんだ？


俺何かしたか？


なら、謝るから…


いままで通りに戻りたい。


「好きだ」


思わず溢れたこの言葉。


誰にも拾われるはずのなかったこの呟きは…


「え…」


本人に拾われたようだ。

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