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番外編2 ページ42

「すみません。お待たせしました」


そう声を掛けると読んでいた本から顔を上げた女性。


「ううん。私が早く来すぎただけだから」


その女性__潔子さんがそう微笑んだ。


夏祭りの浴衣の件で仲良くなった私達は頻繁に会っていた。


マフィア界の数少ない女性ということもあり、お互いの相談などでよく集まっている。


今日は私からカフェに誘いをかけた。


頼んでいたコーヒーとケーキがきたところで口を開いた。


「あの、それで相談なんですけど…」


私は先日のことを潔子さんに話した。


あの日から夜久さんを見ると胸が暖かくなること、何故か目を合わせられないこと。


自分でもなんとなく分かっている。


けれど、きっと私は踏み出すのが怖いのだろう。


「それって恋じゃない?」


潔子さんの返答は…私が思っていた通りだった。


「恋…ですか?」


「うん。話を聞く限り、Aちゃんは夜久くんのことが好きなんだと思うよ」


繰り返し聞かせるように潔子さんはそう言った。


「夕は、」


俯いて口を開いた私をまっすぐ見つめる潔子さん。


「夕はいつでも私の前にいて…壊れそうな私を引っ張り続けてくれてたんです。あの時はそれが嬉しかった。

でも今は、夜久さんは、私を横からそっと背中を押してくれるんです。それが暖かくて…。

でも、この気持ちは夕の時とは違う。あの時の気持ちが本当の恋だったとするなら今は…」


そこで黙った私を見て潔子さんは優しく微笑んだ。


「恋の形って1つじゃないと思うよ。

確かに西谷の時の気持ちも恋だったと思う。

でも一緒にいて暖かいっていうのも紛れもなく恋だよ」


1つじゃない、か。


そしたら私は夜久さんのことが__


「それで?告白はしないの?」


「ブッ」


いきなりぶっ込んできましたね。


口に含んでいたコーヒーを思わず吹き出した。


「無理ですよ‼向こうは私のこと眼中にないでしょうし」


そういうと少し不満げな顔をされたがこの話を強制終了した。

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マワン(プロフ) - 涙あり笑いありのとても素晴らしい作品だと思いました。見終わった時は一つの映画を見たあとのような達成感があって…ってよくわかんないですよねwwめっちゃ感動したしなんか心からなんか湧き出て来そうなほど今とっても幸せです。貴方様の作品を見れて嬉しかったです! (2021年12月20日 0時) (レス) @page48 id: 8883b9069a (このIDを非表示/違反報告)
マワン(プロフ) - 涙あり笑いありのとても素晴らしい作品だと思いました。見終わった時は一つの映画を見たあとのような達成感があって…ってよくわかんないですよねwwめっちゃ感動したしなんか心からなんか湧き出て来そうなほど今とっても幸せです。貴方様の作品を見れて嬉しかったです! (2021年12月20日 0時) (レス) @page48 id: 8883b9069a (このIDを非表示/違反報告)
朝夜花 - ありがとうございます!詳しい設定などがありましたら教えてくださいね。 (2021年5月5日 17時) (レス) id: b29c5aacfc (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 赤葦と白布さんとの夢主取り合い編見たいです!続き見たいです! (2021年5月3日 17時) (レス) id: 262b3e9786 (このIDを非表示/違反報告)
朝夜花 - ご希望ありがとうございます!他にもリクエストがあればどんどん言ってください! (2021年4月25日 23時) (レス) id: b29c5aacfc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朝夜花 | 作成日時:2020年12月19日 22時

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