40 ページ40
京治との出会いはいつだっただろうか。
明確な年は覚えていないが、幼かったことだけはわかる。
気づいた時にはもう横にいた。
赤葦京治。
元、九条京治。
九条組、ボスの1人息子。
鳳月組と九条組は友好な関係にあった。
父同士の仲が良く、それに伴って家族絡みの付き合いをしていた。
今思い返すと、私と京治は恐らく婚約関係にあったと思う。
姉でなく私なのは、年が近いこととそれが決まった頃の私は両親にとって優秀な子、だったから。
…いや、婚約解消しなかったのは姉より優秀、と少なくとも九条家の人たちには思われていたからだろうか。
実際私が九条家の人に会ったのは6歳の時が最後で、その頃はまだ自分を作っていなかった。
そして私は少なからず京治に好意を抱いていたと思う。
それが恋愛感情か、といわれると答えはNOだけども。
親に殴られた私を手当てしてくれるのはいつも京治だった。
出来損ないとなった私に変わりなく接してくれたのも、京治だ。
今思うと手を抜いていることに気づいていたのかもしれない。
…彼は鋭いから。
何があってもそばにいてくれたのは彼だ。
そんな日々が覆されたのは18の時、約1年前。
彼は家から逃げ出した。
いつかの私と同じように、他の組が攻めてきたところに便乗して、家から飛び出した。
それから彼は私の前から姿を消した。
だから赤葦京治と名乗って梟谷組にいると知ったのも。
生きていると知ったのも。
勿論会うのも。
あのパーティーが初めてだったから驚いた。
…まぁ絶対にどこかで生きているとは思っていたけど。
彼は簡単に死なない。
頭のキレる私の自慢の幼馴染だから。
69人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミックスジュース - めちゃめちゃいい作品を有り難う御座います!これからも楽しみにしてます! (2020年11月7日 21時) (レス) id: f935ff1209 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朝夜花 | 作成日時:2020年10月31日 18時