【ハイキュー】仮面をつけた天才 (ページ13)

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13　夜久side ページ13

「おい、起きろ！」

黒尾の声がして目を開ける。

あれ、俺…。

確かみんなで話していて…

青城がきて…

「Aは⁉」

飛び起きて黒尾にそう尋ねた。

頭がはっきりすると同時に思い出す。

青城に連れてかれたか。

「連れてかれた。おそらく青城のアジトだろ」

「チッ」

その言葉に研磨が珍しく舌打ちをした。

「とりあえずみんな起こすか」

未だに寝ている山本、リエーフ、芝山、犬岡に声をかけて、Aが連れ去られたことを伝える。

「そんな‼Aさん！どうしようどうしよう」

「はうぁ！俺達の女神が！許さん、青城！」

騒ぐリエーフと山本を黙らせて黒尾に向き直った。

「どうする？」

「連れ戻しに行く。もちろん」

…お前ならそう言うと思った。

「そうだな。研磨、監視カメラのハッキング、頼めるか？」

研磨が頷いてキーボードを打ち出す。

それを確認して、ふと思ったことを聞いてみた。

「分かってあげられるってどういうことだろうな」

皆もそれは疑問に思っていたらしく、首を傾げた。

「あいつ、戸籍がないっていってたろ。それが関係してるんじゃねーの？」

確かに…。

「でもよ、無理矢理聞き出すっつーのもなー。俺ら信用されてないっぽかったし」

「それは黒尾が銃を突きつけるからだろ」

そう言うと、うっ、と黙る黒尾。

「でも、抵抗しなかったのにも驚きましたよね」

ふと、芝山がそう言った。

「生きることに執着がない、みたいな」

生きることに執着がない、か。

「見つけたよ」

黙りこくった俺達の間に研磨の声が響いた。

「さてと、じゃあ、お姫様を助けに行くとしましょうか」

黒尾の声に場が引き締まった。