What a surprise! 4 ページ4
「あれ、伊沢さん？」
ふいに誰かに声をかけられ、彼がそちらへ振り返った。
私も一緒になって振り向く。
そこにいたのは、眼鏡をかけた1人の男子学生。
「お、久しぶり」
伊沢さんが懐かしむように彼に応えた。
知り合いだろうか。
「なんでここにいるんですか」
「近くで仕事があったから寄ってみた」
彼らは久しぶりの再会を喜んでいるようだった。
それから二、三言葉を交わす彼らを私は邪魔しないよう黙って見守る。
そして、ふとその彼と私の視線が交わった。
「伊沢さん、彼女ですか？」
彼が伊沢さんに尋ねる。
「そう。可愛いだろ」
伊沢さんは誇らしげに私の腰に手を回した。
私は気恥ずかしさから俯き、控えめにぺこりと頭を下げる。
「Aちゃん、こいつTQCの後輩なんだ」
なるほど、そういう関係なのか。
『初めまして、文学部2年の秋山と申します』
私がそう言うと、紹介された彼は私の顔をまじまじと見つめた。
「どうも…ん？文学部2年？」
彼はしばらく何かを考え込んだ。
その意図がわからず、私と伊沢さんは目を見合わせる。
すると彼は何かに閃いたようで、
「もしかして文学部2年のめちゃくちゃ可愛いって噂の子！？」
と私のことを指差した。
その瞬間、それはどんな噂なんだと私は困惑してしまった。
隣の伊沢さんを見上げると、なんだか不機嫌そうな顔をしている。
「噂でしか聞いたことなかったけど、本当にいたのか…。いや、確かに頷ける。まさか伊沢さんの彼女だったとは(笑)」
彼は腕組みをして感心しているようだ。
『いえ、何かの間違いですよ。きっと私のことではないのでは…』
慌てて私が否定をすると、
「密かにファンクラブがあるってマジですか？(笑)」
と彼は面白がりながら私に尋ねてきた。
そんなものは聞いたこともないし、見たこともないのですが？
初めて知る衝撃の事実に私が白目を剥いていると、伊沢さんは私の手を強引に取った。
「悪い、もう行かなきゃ。またな」
彼への挨拶もそこそこに、伊沢さんは私を連れてその場を立ち去ろうとする。
掴まれた腕が少し痛かったが、今は黙って彼に従わざるを得なかった。
『し、失礼します！』
去り際に慌てて彼にそう告げると、彼は伊沢さんの突然の不可思議な態度に唖然としていた。
そんな彼には目もくれず、伊沢さんはずんずんと歩みを進めていく。
What a surprise! 5→←What a surprise! 3
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽむた(プロフ) - Annieさん» いえいえ~！Annieさんの小説を読んで毎日癒されてます~！笑 頑張ってください~！！楽しみにしてますね~(´∀｀*) (2020年3月21日 20時) (
レス) id: 07f3c73a71 (このIDを非表示/違反報告)
Annie(プロフ) - ぽむたさん» あっありがとうございます…！貴重なご感想、大変励みになります…更新頑張りますので、今後とも是非よろしくお願いします！ (2020年3月21日 0時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむた(プロフ) - 毎回素敵なお話をありがとうございます!!キュンキュンさせてもらってます〜（ ; ; ） (2020年3月20日 22時) (レス) id: 07f3c73a71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Annie
| 作者ホームページ：https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時：2020年3月20日 1時
