だからどうか、友達のままで。5 ページ5
『私もQuizKnockの一員として、役に立ちたいのに…何のためにいるのか分からなくなっちゃった』
こんな泣き言を、友達である彼には言いたくなかった。
彼もまた、さまざまな思いを抱えてこの仕事をしている。
それでも私には愚痴をこぼしたことなど一度もない。
私ばかりそんな泣き言を言って、都合良く慰めてもらおうだなんて、そんな虫の良すぎるのは私が許さない。
それなのに、一度溢れてしまった思いはもう堪えることなどできなかった。
すると彼はしばらく黙って私を見つめた後、ふと口を開いた。
『Aはさ、誰より頑張ってるじゃん。遅くまで残ってたり、熱心に相談したりして』
彼のその優しさに、今の私は思わず苛立ってしまった。
『でも、頑張ってたって結果が出せなきゃ…！』
声を荒げる私を、彼は静かな瞳で見つめる。
その瞳は息を呑むくらい澄んでいて、私は無意識に口を噤んだ。
「誰もそんなこと言わないと思うよ。皆誰よりAが頑張ってること知ってるし、結果よりも過程が重要だって伊沢さんもよく言ってるじゃん」
もっともな彼の意見に、それまでの勢いを衰えさせる私。
『そうだけど…』
「俺はAのそういう真面目で頑張り屋なところ好きだけど、あんまり自分を責めなくてもいいんじゃない？もし苦しかったり悩んだりすることがあったら、いつでも俺が聞くよ」
いつもの子どものような無邪気な笑顔ではなく、それは穏やかな笑みだった。
なんで彼はこんなに優しいのだろう。
私は彼にどれほど甘えて、どれほど励ましてもらってるんだろう。
いつも話すのは、もっと軽い愚痴やくだらない話。
同じような笑いのツボで、何でも話せる友達。
私は彼の存在に、いつも感謝している。
『…ありがとう』
照れくさくて普段は言えないことを、ぽつりと呟いた。
彼はにこりと笑って、私の頭をぽんぽんと優しく撫でた。
…こんな時ばっかりそういうことするなんて、ずるい。
だがこの時の私はそれを素直に受け入れてしまったのだった。
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Annie(プロフ) - 朔さん» 朔さんコメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(^_^) (2021年3月22日 20時) (
レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
朔 - ちょっち待ってえ…いい話 (2021年3月20日 21時) (レス) id: 06e8a73e80 (このIDを非表示/違反報告)
Annie(プロフ) - なぎさん» なぎさんコメントありがとうございます！反応遅くなりすみません;;語彙力がなくなるほどお褒めいただけて光栄です(笑)またお楽しみいただける作品を作ります！！ (2021年1月13日 22時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
なぎ(プロフ) - 新作ありがとうございます！！最高でした....！本当に ...まじで...最高(語彙力消滅 (2021年1月7日 22時) (レス) id: c2bf2a4148 (このIDを非表示/違反報告)
Annie(プロフ) - ちくわ。さん初めまして、コメントありがとうございます！おかげさまで物凄く励みになりました(^^)！ゆっくりではありますが、更新は続けていきますので気長にお待ちいただければと思いますー！ (2021年1月7日 12時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Annie
| 作成日時：2021年1月5日 22時
