Weeeeeeek【QK】 (ページ3)

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Wednesday_Ko-chan side ページ3

Wednesday_Ko-chan side

定時を少し過ぎた頃、一週間も折り返しかぁなんて思いながら俺はぼんやりとPCを眺めていた。

お、そういえば今日は東大王の日か。

QuizKnockでは毎週水曜日、特に用事がない人はオフィスに残り皆で東大王を観る。

そして作問や出題の仕方について勉強したり、難問は皆で考えを出しながら答えを導き出したりと、仕事半分プライベート半分という感じで視聴するのだ。

「A、今日もここで東大王観る？」

ふと近くの席に座る彼女に声を掛けてみた。

『あ、うん…………あっ』

彼女は俺の問いかけに頷いた後、すぐに何かを思い出した様子を見せ、そのままそれは絶望へと変わっていく。

「どしたん？」

再び尋ねると、彼女は今にも泣き出しそうな顔をして、

『今日の東大王録画予約して来るの忘れちゃった…』

とぽつり。

それを聞いた俺は腕組みをしながら首をひねる。

「オフィスで観るんだからいいんじゃない？俺らもこれから皆で観るし」

その言葉に、彼女はクワッとすごい剣幕で俺を見つめた。

『東大王は録画して何回も観返すんだから駄目！！』

あまりの勢いに、俺は思わずタジタジになってしまった。

『早く帰らなきゃ！バイバイこうちゃん！お先に失礼します！！！』

彼女は作業を中断し、PCの電源を落とし荷物を鞄へとポイポイ放り込み、慌ただしくオフィスを後にした。

残された俺達は、一同唖然。

別にどうしても彼女と東大王を観たかったわけではないけれど、なんだか少しだけ寂しい気持ちになった。

「伊沢オタクこっわ…」

ふと先程の彼女の剣幕が頭をよぎり、誰にも聞こえないような小さな声で呟く。

可愛らしくてどちらかというとおっとりしている印象の彼女が、今みたいに一生懸命になったり真剣になったりするのは、いつだって彼に関することばかりだ。

普段あれだけ周りを見て行動してる子が、伊沢さん関係のこととなると目的しか見られなくなるなんて。

恋というものは素晴らしいが、時々恐ろしいと思うこともある。

本人の意志とは関係なく、その人自身を変えてしまうから。

ただ、そんな風に誰かを想うことができるというのもすごく尊いことなのだと思う。

彼女が放送時間までに帰宅できることを祈りながら、俺はまたPC画面に視線を戻した。