Weeeeeeek【QK】 (ページ6)

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Saturday_You side

『え。今日も伊沢さんいないんですか？』

今日は講義もないので、ゆっくりとお昼過ぎにオフィスへと向かった私は、そこにいるはずの彼の姿がないことに驚いていた。

「うん。なんか急に打ち合わせに呼ばれたんだって」

ふくらさんが親切にもそれを教えてくれる。

『今日はいるって、昨日言ってたのに…』

私はガックリと肩を落としながら、自分の席に座り鞄を下ろした。

急用なら仕方ない。
お仕事なら仕方ない。

必死に自分に言い聞かせながら、PCの電源を付ける。

チラリとCEO席を見れば、そこにいるはずの姿はやっぱりなくて。

私ははぁ、と深いため息をついた。

「今朝ちょこっとだけ顔は出してたんだよ。すぐにテレビ局の人から電話がかかってきて行っちゃったけど」

あぁ、行き違いか。
私がもう少し早く来ていれば、彼の顔をひと目でも見ることができたかもしれないのに。

後悔に苛まれた私は、両手で顔を覆いながら襲い来る絶望に耐え忍ぶ。

次に会えるのはいつになるのだろう。
明日は日曜日だから会えないだろうし、早くて月曜日だろうか。

いや、昨日彼は「来週はスケジュールがパンパンなんだよね」って言ってなかったっけ。

詳しい内容は聞かなかったが、あまりオフィスには来られないようなニュアンスだった気がする。

元気を出そう。
自分の務めはきちんと果たさなければ。

なけなしのやる気を振り絞り、私はカタカタとキーボードを叩き始める。

するとそこに、ふくらさんが音もなくスッとやって来て。

作業指示だろうかと顔を上げると、彼は私に一枚のメモ紙を手渡してくれた。

無言で渡されたので、それが何か分からず、私はジッとその紙を凝視する。

そこにはなんと、彼の筆跡で

「会えなくて寂しいよ。いつも心の中ではAちゃんを想ってるからね」

という走り書きが。

よく見るとそのメッセージの隣には、似ても似つかない自画像が少し雑に描かれている。

「伊沢が出かける間際に、それを君に渡してって頼んできたんだよ」

ふくらさんがことの詳細を教えてくれた。

「その絵、めちゃくちゃ下手すぎてつい笑っちゃった」

口を押さえて吹き出すのを我慢しながら、彼は自分の席へと戻って行く。

残された私は、そのメモ紙を握り締めながらただひたすらにジッとそれを見つめていた。

…全然似てない。

似てないにも関わらず、どこか味のあるその絵に私の目は奪われてしまって。

それを大切に鞄へとしまい、私はまた宝物が一つ増えたことに歓喜するのだった。