ダイエット奮闘記。【QK】 (ページ1)

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ダイエット奮闘記。ページ1

「Aさぁ、ちょっと太った？」

唐突にこうちゃんにそれを告げられ、片手にクッキーを握り締めながらPCを眺めていた私は硬直。

付取っ田？
え？
FUTOTTA?

言葉の真意はとっくに理解できていたが、それを素直に受け入れることができず、思考もフリーズ。

「ちょっとこうちゃん、女の子にそれは失礼が過ぎるよ」

横から山本さんが彼を制した。
だがその声すら遠くに聞こえるほど、私の意識はショックで失いかけられている。

「だってさぁ、最近何かいつも食べてない？さっきまでチョコ食べてたよね？で、今クッキーなの？」

こうちゃんの言葉がグサグサ心に刺さり、私の胸からは血が溢れ出そうだった。
ちらりと自分の席の隣にあるゴミ箱に目をやれば、そこには自分が食べたお菓子の包み紙が山のように捨てられている。

あれ？私お昼もしっかり食べたよね？
今日は山本さんとこうちゃんと3人でお昼を食べに行き、日替わりランチにデザートはチーズケーキを食べた。

それで今はチョコレートが胃袋に収まり、さらにクッキーの追撃。

夏休み中で広いキャンパス内を歩き回ることもなく、ただ家とオフィスの往復の毎日。
日中は座ってひたすら作業をするだけ。
運動という言葉を最後に思い浮かべたのはいつだっただろうか。

ガバッとデスクに突っ伏して自分への嫌悪感を抱く私。

「だ、大丈夫だよ！Aちゃんは元がめちゃくちゃ細いんだから！今くらいが健康的でいいと思うよ！」

山本さんのフォローが逆に痛い。
やはり誰が見ても太ってしまったのか。

そういえば最近スカートのウエストがやたらときつく感じた。
なんか苦しいなぁ、といつも無意識にお腹を擦っていたのだ。
その原因が、今この瞬間判明した。

むにゅ、と頬をつまめば、想像以上にそれが伸びる。
感触も何やら餅のように柔らかい。

以前私が体調を崩した時、伊沢さんはお姫様だっこで私を運んでくれた。
だが、もし今そんな事態がふいに起こったとして、伊沢さんの腕が折れてしまったら？
ただでさえ一昨年脚を骨折していた彼が、今度は私のせいで腕を骨折することになったらその罪は一生かけても償いきれない。