匂わせちゃう系男子。4 ページ4
「これ、プレゼント」
その言葉にパッと目を開けると、彼の手にはいつの間にかお花の装飾の2つのイヤリングが。
え、と目をぱちくりさせる私に「つけてみて」と微笑む彼。
あまりに可愛らしいそのデザインに、ゴクリと生唾を飲み込む。
ドライフラワーのようなお花が垂れ下がり、それは赤に近いピンク色のリボンによって綺麗に結ばれていて。
普段あまりイヤリングはしないのだが、今までの人生で見てきた中で一番と言ってもら過言ではないくらい可愛らしさ。
おそるおそるそれに手を伸ばしながら、私はゆっくりと左右の耳にそのイヤリングをつけた。
近くに鏡がないので自分に似合っているかどうか分からなかったが、目の前の彼が満面の笑みを浮かべてくれたので、どうやら悪くはなさそうだ。
「うん、すごい可愛い」
そう言って、彼は指先で私の耳から垂れ下がるお花に少し触れる。
『本当に、すごく可愛いデザインです』
私が彼に同調すると、彼はなぜか目を丸くして
「違うよAちゃんがだよ」
と声を荒げた。
今度は私が目を丸くして、え、と声を上げる。
「俺が可愛いって言う時は100%Aちゃんのことだから」
なぜか誇らしげに鼻を鳴らす彼に、私は照れくさくて俯きながらモジモジしてしまった。
「やっぱり俺の見立てに間違いはなかったな、よく似合ってる」
彼は私の頭を優しく撫で、にこりと柔らかく微笑んでくれた。
「何かプレゼントしたくて。ネックレスは1年記念日であげちゃったし、指輪はもっと大切な時に贈りたいし。そうするとピアスかなと思ったけど、Aちゃんピアスホールは空いてなかったなぁと思って」
確かに私は耳に穴は開けていない。
単純に痛そうというのもあったし、私の周りに開けている人が少ないというのもあった。
ただ、志賀さんのピアスを見ると、毎回お洒落だなぁと思わされる。
それはお洒落な人だから似合うわけであって、残念ながら私の場合、可もなく不可もなくという装いになる気がした。
そんなことを考えていると、彼は私の頭に触れていた手をスッと頬に添えた。
あ、と胸をときめかせながら彼を見上げると、彼はじっと私の瞳を見つめていた。
彼と視線を交わらせている間、まるで時が止まったような感覚に陥る。
『…ありがとうございます、大切にしますね』
ふと私が口を開くと、彼はふと柔らかく表情を綻ばせ、
「俺がしたくてしてることなんだから、いいんだよ」
と言いながら私に優しい口づけをくれたのだった。
303人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年9月16日 20時