匂わせちゃう系男子。 ページ1
今日は、伊沢さんのおうちにお泊まりさせてもらう日。
昨夜から胸を躍らせつつ荷造りをして、準備は完璧。
オフィスでの作業が終わったら、伊沢さん宅へ向かう予定だ。
だが、さすがにお泊まりバッグを持って彼と一緒にオフィスを後にするのは少し、いや物凄く恥ずかしい。
「あ、コイツら今日泊まりでキャッキャウフフやるんだ」と、他のメンバーに思われるのが嫌すぎる。
ということで、私は一度自宅へ戻り、その後仕事を終えた彼が迎えに来てくれるという手筈になっている。
ここにバッグを持ってきて、そのまま一緒に彼のお宅へ行けば一番効率的ではあるのだが、それは私の羞恥心が許さなかったのだ。
『お先に失礼します』
「お疲れー」
「お疲れさま」
作業を終えた私がPCをシャットダウンし、鞄を持って立ち上がる。
チラリと彼の方を見ると、彼は私に向かってパチンとウィンクをしてくれた。
あまりに綺麗すぎるそのウィンクに、思わずノックアウトされそうになってしまったが、なんとか平静を保ちながらオフィスを後にする。
なかなか普段隠し事ができるタイプではない私が、こうやって彼との秘密を共有するのは、なんとなくフワフワするような不思議な気持ちで。
うっかり顔に出てしまわないよう、真顔を心がけながら今日1日を過ごした。
オフィスから一歩外に出た私は、1日堪えていたニヤけ顔を盛大に漏らす。
そのままスキップに近い足取りで帰路までついたが、途中何度かすれ違う人に物凄い顔で見られたのはきっと気のせいではなかったはずだ。
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年9月16日 20時