夢の中の2つの扉【QK】 (ページ9)

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夢の中の2つの扉9 ページ9

その後も、毎晩現れる2つの扉。
俺はもう迷う間もなく赤い方を開き続ける。

そうすれば、いつも笑顔で俺に甘えてくれて、俺の溢れんばかりの愛情をいつでも受け入れてくれる彼女に会えるのだ。

元から若干鬱陶しいくらいの(少しは自覚がある)愛情表現をしている俺にとっては、まさに願ったり叶ったり。

「ねぇ。最近バカップルに拍車がかかってない？さすがにうざいんだけど」

ある日、オフィスでいつものように彼女とキャッキャウフフしていると、ふくらさんから横槍を入れられた。

「福良よく言った！」

「皆が思ってることを代表して言ってくれるなんて！」

と、河村さんとこうちゃんが彼を持ち上げ始める。

全く自覚のない俺らは、これが通常ですが？と言わんばかりにキョトン顔。

「Aちゃん、前まではもう少し“オフィスでは控えめに！”って伊沢を諌めてくれてたと思うんだけど、最近はすっかり伊沢と同じテンションだよね」

川村さんの一言により、端から見てもやはり俺と彼女の関係がより濃いものに変わりつつあることに気づかれているようだった。

そんな彼らの言葉を受け、彼女は俺の服の裾をギュッと掴みながら首を傾げていた。

俺はもう、それだけで天にも登りそうになってしまって。

「ふっ俺らの愛を阻むことはできないぜ」

とドヤ顔を決める。

周りからはブーイングの嵐だったが、俺はそれに耳を貸すこともなく、彼女と2人きりの世界のように振る舞うのだった。