夢の中の2つの扉【QK】 (ページ1)

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夢の中の2つの扉1 ページ1

ある日。

サッカーの中継も観終わり、すっかり夜も更けた頃。

そろそろ寝るかとベッドに横になった後、目を閉じながら翌日の予定を思い起こした。

明日は夕方からテレビの収録があるから、少しだけオフィスに顔を出す時間はあるだろう。
あぁ、でも収録の前にディレクターから少しだけ打ち合わせをしたいって言われていたので、早めに向かわなければ。

そんなことをぐるぐる考えていると、急に強い睡魔に襲われた俺は、意識がなくなる寸前に愛しい彼女の顔を思い浮かながら眠りについたのだった。

ふと目を開けると、そこにはだだっ広い真っ白な空間が広がっていた。

あまりに現実味のなさすぎる世界に、瞬時に夢の中であることを悟る。

最近は夢を見ることは少なくなってきたというのに、と思いながらその空間の中をキョロキョロと見回していると。

ふいに俺の目の前に、赤いドアと青いドアが現れたのだった。

なんだこれ。2択クイズか？

と、どこまでもクイズ脳な自分に苦笑しつつ、俺はその2つのドアに近づいてみる。

赤いドアには白い文字で大きく“甘えん坊”と書かれており、その言葉の意味も分からず俺は首をひねるばかり。

甘えん坊って何だ？

もう一つの青いドアの方を見やれば、そこには同じように白い文字で“ツンデレ”と書かれている。

甘えん坊とツンデレ？
そんな恋愛シミュレーションゲームのような選択肢が現実にあってたまるものか。

と頭を掻いたが、実際ここは夢の世界であることをすぐに思い出した。

しばらく考え込んだ俺は、ふと一つの可能性にたどり着いた。

もしかすると、このドアを開けた先にここに書かれた属性を持った誰かがいるのではないか？

つまり、赤いドアを開ければ甘えん坊の誰か。
青いドアを開ければツンデレな誰か。

それ以外にまったく考えが思い浮かばなかった。
ひとまず夢の中だし、何が起こっても不思議ではないだろう。

そう思いながら俺は青い方のドアノブに手をかけた。

緊張というよりも、この先に何が待ち受けているのかという好奇心の方が勝っていて。

ガチャリとドアをゆっくり開けていくと、隙間からまばゆい光が差し込んでくる。

眩しい、と目を細めながらドアの向こうへと足を踏み入れると―――。