酔っぱらいに振り回されています【QK】 (ページ10)

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酔っぱらいに振り回されています10 ページ10

驚いて彼の方を向くと、彼は真剣な顔をしていて。
だがすぐに眉を下げながら苦笑いを浮かべるのだった。

「俺は気にしてないよ。他のメンバーも、Aちゃんがお酒に弱いことは知ってる。だから、大丈夫だよ」

彼にそれを告げられ、私はまた涙腺が緩んでいくのを感じた。

どうしてこの人は、こんなに優しいんだろう。

散々迷惑をかけられて、それを文句一つ言わずに許してくれるなんて。

私は俯きながら彼の胸に頭を預け、込み上げる涙を見られまいとした。

彼は何も言わずに私の頭を撫でてくれる。

『ごめんなさい…』

そう呟いた私に言い聞かせるように、彼は優しい口調でこう言った。

「俺は君のものだよ。だから、俺にこうして痕をつけていいのは君だけ」

その声はどことなく嬉しそうで。
私はその優しい言葉に、また涙を流してしまったのだった。

それからというもの、絶対に何があってもお酒は口にしないと心に固く誓いを立てた私。

だが、それを誓ったところで彼以外の3人に与えてしまったトラウマが消えることはなく。

しばらくの間、私が彼らに少し近づくと、途端に無言で半径3mほどの距離を取られることになってしまったのは、私の自業自得とも言えるのかもしれない。