酔っぱらいに振り回されています【QK】 (ページ9)

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酔っぱらいに振り回されています9 ページ9

まさか伊沢さんが浮気するなんて。
しかもこんな痕を残すようなことをする人と。

みるみるうちに私の瞳には涙が溜まっていく。

私が寝ているうちに、女の人と会っていたのだろうか。
そんな酷いことをするなんて。

嗚咽を漏らしながら泣き始める私を見て、彼は同じようにその場にしゃがみ込んだ。
そして、私の肩を物凄い力で掴んできて。

「ちょっと待って！確実に誤解してる！！」

と声を張り上げたのだった。

ぼろぼろと涙を溢れさせながら目を丸くする私。

誤解？こんな動かぬ証拠があるのに？

彼の一言で私の疑惑が晴れることはなく、余計に彼への不信感が募っていく。

そんな私の不審な目に気づいた彼は、はぁと深いため息をついて。

時を夕方頃まで遡らせたのだった。

「…というわけで、これは正真正銘君がつけたキスマークです」

彼から事の一部始終を聞き終えた私は、顔を真っ赤にさせながらわなわなと身を震わせていた。

私が伊沢さんにキスを迫って？
さらに山本さんやこうちゃんにもせがんだ挙げ句？
伊沢さんに散々キスマークをつけてから爆睡？

そんなことが信じられるはずがない。

だが、それ以外に目の前の惨状があり得ないことにも気づいていた。

なんてことをしてしまったのか。

私は先程とはまた違う意味で絶望をしていた。

「知らなかったとはいえ、俺がウイスキーボンボンなんてあげちゃったのが悪いんだよ。だから気にしないで」

床に突っ伏す私を見て、慌てたようにフォローしてくれる伊沢さん。

だが、彼に非がないことは誰か見ても明らかだ。
悪いのは酔っ払った挙げ句に誰彼構わずキスを迫った私…。

死にたい。
なんて恥ずかしいことをしてしまったのか。

周りのメンバーに迷惑をかけて。
彼の身体に痕をつけて。

羞恥心と罪悪感に苛まれた私は、バルコニーから飛び降りたい衝動に駆られる。

その前に彼にお詫びをしなければと、床に伏していた私は体勢を変えて土下座のポーズをとった。

「…伊沢さん。ご迷惑をおかけしまして大変申し訳ありませんでした。お詫びにもならないかもしれませんが、今すぐそこから飛び降りてこの世からいなくなります」

では、と片膝を立てて立ち上がろうとすると、彼は私の腕をガシッと掴み、それを阻んだ。