酔っぱらいに振り回されています【QK】 (ページ8)

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Side:YOU

目を覚ますと、そこは撮影部屋のソファの上だった。

あれ？私いつの間に寝ちゃったんだっけ？

ムクリと身体を起こしながら目を擦ると、何やら頭が少しだけ痛むのを感じた。

おかしい。
今まで眠ってたはずなのに、頭痛がするなんて。

右手で頭を押さえながら時計を見上げると、時刻はすでに夜の21時を迎えていた。

え！？そんなに寝てた！？？

辺りを見渡すが、誰もいない。

もしかして、寝てしまった私を起こすのが憚られて、皆黙って帰ってしまったのだろうか。

それは少し寂しいなぁと思いながら、私は必死にそれまでの記憶の糸を辿ろうとした。

夕方頃、伊沢さんがオフィスに来たことは覚えている。
そして、チョコレートを貰った。

舌がとろけるほど美味しくて、夢中になって食べて。

あれ、それからどうなったんだろう。

頭の中に疑問符が浮かぶが、なかなか答えを導き出すことができない。

そんな綺麗さっぱり忘れてしまうことがあるだろうかと違和感を覚えながらも、とりあえず作業部屋へ戻ることにした。

ドアを開けると、そこは電気が点いていて。

人の気配を感じた私は、目を輝かせながらそこにいる人物に目を向けた。

CEO席に座る人。

『伊沢さん！』

声をかければ、彼は顔を上げてこちらを見つめた。

「あぁ、起きたんだね」

彼は安堵の声を漏らしていたのだが、何やらその声に元気がない。

不思議に思っていると、彼は私の方へとゆっくり歩み寄って来てくれた。

『ごめんなさい、私いつの間に寝てしまったのか全然覚えてなくて…』

そう言いながら彼の顔を見上げたところ、彼の首筋から鎖骨にかけてくっきりと赤い印が刻まれていた。

一瞬で硬直する私。

間違いなくそれはキスマークだった。
しかも、うっすら歯型までついている。

え？浮気？伊沢さんが？

何が起きているのか分からず、私は言葉を失うしかなかった。

「あの、Aちゃん？何か誤解してない？」

そんな伊沢さんの声すら耳には入ってこず、私は無意識に彼の着ているシャツのボタンに手をかけたのだった。

第ニボタン、第三ボタンを外していけば、いくつも散りばめられた赤い痕。

それは熱烈すぎる様子を惜しみなく物語っていた。

もはや自力で立つこともできない私は、その場に力なくへたり込む。