酔っぱらいに振り回されています【QK】 (ページ7)

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「伊沢！ショック受けてる場合じゃないから！止めて！！」

突如飛んできたふくらさんの声に、俺はようやく我に返り身体を動かすことができたのだった。

慌てて彼らの元へと飛んでいき、2人を引き離そうとしたものの、彼女の力が思っていたより強すぎてなかなか引き離せず。

無理矢理力に任せてしまえば、きっと彼女を突き飛ばすことになってしまう。

それだけは避けたかったのだが、このままではどうにもならなそうだった。

困り果てた俺のもとに、2人の救世主が舞い降りた。

こうちゃんとふくらさんである。

俺が懸命に山本から彼女の身体を離そうとして、彼らは山本の身体を引っ張る。

ちょっとした綱引き状態だ。

いや冗談を言っている場合ではない。

1分ほど男3人で精一杯引き離そうとした結果、ようやく力尽きた彼女によってそれが実現した。

その場にいた彼女以外の全員が疲れ果てて息切れを起こしていた。

彼女の華奢な身体のどこにそんな力があったのだろうか。

荒い呼吸を整えながら、ちらりと彼女の方に視線を向ければ。

彼女は次のターゲットに狙いを定めたのか、近くにいたこうちゃんに向かって駆け寄って行った。

もう二度と先程のような悲劇を起こすものか。

「させるかーーーーーー！」

俺は彼と彼女の間に割って入り、向かい来る彼女を両腕で受け止めた。

彼女に押し倒されるような体勢となってしまい、こんな状況ながらも思わずドキリとしてしまった。

獲物を捕らえたような鋭い目で彼女は俺を一瞥した後、すかさずキスをしようとしてくる。

究極の打開策をその一瞬で思いついた俺は、両手で自分の唇を覆ったのだった。

これならキスはできないだろう。
彼女が怯んだ隙に捕獲して家に帰す作戦である。

我ながら天才的なアイデアだと心の中で自画自賛をしていると、彼女は俺の素晴らしいアイデアを遥か超えて俺の首筋に噛み付いてきたのだった。

「…っ」

予想の範囲を超える彼女の行動に、俺は驚きながら必死に首筋の甘い痛みに耐える。

まさか唇以外にキスをしてこようとは。
さすがにその考えはなかった。

だが、ここで抵抗したところで彼女のターゲットが他のメンバーに変わるだけだことも分かっていた。

もう、どうにでもなれ。

そんな諦めの気持ちを胸に、俺は彼女の好きなようにさせることにした。