酔っぱらいに振り回されています【QK】 (ページ6)

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深く口づけられた彼女の唇からは、ウイスキーの匂いがぷんぷん漂っていた。

だが、彼女のいつもより熱くて柔らかい唇に、なんだかクラクラと目眩を覚えてしまって。

うっかりそのキスを受け入れそうになってしまったが、さすがに意識がない時にそれをしてしまうのは良くないだろう。

ということで、泣く泣く俺は彼女の肩を掴み身体をぐいっと離したのだった。

目をぱちくりさせる彼女だったが、未だにその焦点は合っていない。

完全に酔っているのが見ただけで分かった。

「Aちゃん、今日はもう帰ろう。送っていくから」

あくまで冷静さは失わず、俺は静かにそう言い放った。

彼女がこんな様子では、もう今日は業務どころではない。
早く帰らせて安静にさせなければ。

深呼吸をしながら心を落ち着けようとしたが、未だにこの不可思議な状況に、俺の心臓はバクバクとうるさいくらいに高鳴っていた。

彼女は一瞬だけ呆然とした後、なぜかゆっくりと頬を膨らませた。

え、なぜ？

疑問に思ったのも束の間、すぐに彼女は俺の手を振り払って俺から離れて行った。

『やら！まらかえらないもん！ちゅーしてくれないいざわさんなんかきらい！』

呂律の回らない口調で声を荒げた彼女は、それを吐き捨てながら足早に近くに座っていた山本に近づいて行った。

「え、え、Aちゃん？」

一部始終を目撃していたらしい彼は、強引に迫ってくる彼女に困惑していた。

そんなのはおかまいなしに、彼にすり寄る彼女。

俺は情けないことにその光景がショックで1ミリも動けず。

まさか目の前で可愛い彼女が他の男に迫ることがあるなんて。

当の本人は周りの目など一切気にすることなく、彼にぐいぐいと身を寄せた。

『いざわさんがちゅーしてくれないので、やまもとさんしてください！！！』

そう言ってキスをせがむ彼女に、彼は額に汗を浮かべながらタジタジになっていた。