酔っぱらいに振り回されています【QK】 (ページ4)

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酔っぱらいに振り回されています4 ページ4

Side:I

彼女にいただき物のチョコレートをあげた。

普段の遠慮がちで控えめな様子はどこへやら、甘い物好きな彼女はサッサと包装紙を剥ぎ取ると、目を輝かせながら箱を開けた。

整列したそれを一つ掴み口へ含むと、幸せの絶頂というような表情を浮かべて。

やっぱり彼女にあげて正解だったなぁなんて思いながら微笑んでいると、彼女は次々にそれを摘んでは小さな口へと運んでいった。

ただ、その様子に若干の違和感を覚えた。

今まで出会ったことのない高級チョコレートにテンションが上がっているのは分かる。

だが、何というか暴走しているような印象を受けたのだ。

いつもの彼女なら、周りに気を遣って必ず分け与えると思ったのだが。
間髪入れずにそれを夢中で食べ進めていく姿を見て、おかしいという疑念を抱いた。

その小さな疑念は、残念ながら的中することになる。

箱に並んだチョコレートを3分の2ほど平らげた彼女が、唐突に意識を失ったのだ。

椅子に座ったまま、ガクリと全身を脱力させて。
目は完全に閉じていて、口は少しだけ開いたまま。

明らかに普通ではなかったのだ。

驚いた俺は、すかさず彼女に駆け寄った。

「Aちゃん！？大丈夫！？？」

懸命に彼女の身体を揺さぶるが、反応はない。

心の奥底から不安と緊張が湧き上がってくる。

まさかチョコレートに変なものでも入っていたのだろうか。
そんなはずはない。

綺麗にラッピングされているのはこの目で確かめたし、彼女の指先に摘まれたチョコレートもおかしいところは特になかった。

彼女の口元に耳を持っていけば、幸いなことに呼吸の音は聞こえてきたので、ホッと胸を撫で下ろす。

ところがその瞬間、俺は確かにそれを感じ取った。

―酒の匂い。

彼女の吐き出す息から、ほのかにそれが漂ってきた。

なぜ？
酒の匂いだけで酔っ払ってしまうほどアルコールに弱い彼女が、いつの間にそれを摂取したのか。