酔っぱらいに振り回されています【QK】 (ページ2)

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「いいんだよ。俺はAちゃんの喜ぶ顔を見ることが生きがいだから」

目を細めながら私の頭を優しく撫でてくれる彼。

はぁ。なんて優しいんだろう。

うっかり涙が出てきてしまいそうになったが、申し訳ないことに今の私の気持ちはチョコレートに向いてしまっていて。

『食べてもいいですか！？』

彼へのお礼もそこそこに、目を輝かせながらそう問いかけたのだからもう救いようもない。

「どうぞ」

私のこの上ないはしゃぎっぷりに、クスッと小さく笑いながら彼はそう言ってくれた。

その瞬間、まるでクリスマスの朝にサンタクロースからのプレゼントを開ける子どものように、紙袋から箱を取り出す私。

箱は金色の包装紙に包まれていて、私の目には冗談抜きで宝物のように映った。

逸る気持ちを抑えられず、ガサガサとやや雑に包装紙を開けると、そこには漆黒の箱が姿を現したのだった。

リアルに漫画のようなハワワワという焦り声を上げる私を見て、彼は声を上げて笑っている。

後で皆にも分けてあげなければという理性がギリギリ残っていたことに、私は自分のことながら安堵した。

パカッと上蓋を開けると、そこには綺麗に並べられた宝石のようなチョコレート達。

一粒一粒の形状が異なっていて、見ただけでテンションが急上昇していくのを感じる。

ふわりと漂う気品のある甘い香り。
洗練されたデザイン。

今まで見たチョコレートの中で、ダントツで美しかった。

突然訪れた人生初の幸福に、私は未だ信じることができなかったのだが、むにゅと頬を摘めば鈍い痛みを感じたのだった。

どうやら夢ではないようだ。
ということは、私は今からこれを食べることができる。

ゴクリと生唾を飲み込みながら、震える手で一番端にある一粒を指先で掴んだ。

おそるおそる口の中へ入れてみれば、カカオのほろ苦さとミルクの甘みが口いっぱいに広がっていく。

あまりの衝撃に、私は思わず息をするのも忘れてしまいそうだった。