酔っぱらいに振り回されています【QK】 (ページ1)

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Side:YOU

ある日、いつものようにオフィスに伊沢さんが姿を現した。

いつもと同じように、ニコニコしながらまず最初に私の元にやって来る。

だが、唯一いつもと違ったのは、その手に高級そうな紙袋が握られていたこと。

「Aちゃん！仕事で貰ったよ！チョコレート！」

彼が私に笑顔で差し出してくれたそれには、Gで始まる某有名チョコレート店のロゴが入っていた。

驚きすぎて何も言えない私は、彼の満面の笑みと紙袋を交互に見つめる。

『えーと…良かったですね？？』

何が正しいリアクションなのかも分からず、私は思わず語尾に疑問符をつけてしまった。

彼は私にチョコレートをもらったことを自慢するくらい、それが好きだったのだろうか。

すると何やら少し頬を膨らませた彼が、私にそれをぐいぐいと押し付けてきた。

「そうじゃなくて！Aちゃんにあげる！」

必死にそれを私に受け取らせようとする彼に、私は唖然することしかできなかった。

まさか、そんな。
ただの平凡な学生である私が、こんな超高級チョコレートを食べられる日が来るなんて。

目を丸くしながらも、私はその紙袋をしっかりと掴んでしまった。

作業部屋の至るところから、「俺らの分はー？」「そうやってAちゃんにばっかりー」とブーイングの嵐が飛んできたが、

「うるせぇ！俺が貰ったものなんだから、誰にあげようが俺の勝手だろ！」

という一言で周りを黙らせるCEO。

そんな中、私は“え？本当に？いいの？”という気持ちと、“いやいやここは遠慮しなきゃ”という気持ちが頭の中で拮抗していた。

だが、僅差で私の意地汚さが勝ってしまって。

思わず口から出た言葉は

『ありがとうございます』

だった。

言った瞬間に我に返った。

いやこれは伊沢さんがいただいたものなのだから、例え「あげる」と言われても多少は遠慮の素振りを見せなければ…！

自分の欲望に忠実すぎるところが、憎たらしくてたまらない。
なぜこうも食い意地が張っているのか。

あまりに自分が情けなくて、頭を抱えながら苦悩していると。