今日の二人【QK】 (ページ10)

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それは、私の方です。
感謝すべきなのは、あなたのそばにいさせてもらっている私の方。

けど、言葉に詰まってそれは上手く伝えられなくて。

ありがとうも好きですも頭の中に浮かんでは消え浮かんでは消え。
このままでは彼のかけてくれた言葉がなかったことになってしまう。

そんな中、ようやく口から出たのは。

『…ハグ、しませんか』

ぽつり、とそう呟くと、彼は一瞬驚いた顔をして。
すぐにとびきりの笑顔と、温かいぬくもりをくれたのだった。

「俺、Aちゃんとこうしてる時が一番幸せかも」

ギュ、と優しく抱きしめてくれる彼の手から、これ以上ないほどの安心感をもらった。

彼から伝わってくる体温が、子どもみたいに高いこと。
私に触れる彼の手が、少しだけカサついていること。

それを知っているのは、きっと世界で私だけ。

そう考えたら、私の方が彼の100倍は幸せだろう。

『これからもずっとこうして抱きしめてくださいね』

彼の匂いに包まれながら、そっと囁いた。

「当たり前だよ。ハグの日じゃなくても毎日抱きしめるから」

そう呟いた彼の声は、今までで一番優しい声で。
私は心が満たされていくのを感じながら、彼の胸の中で目を細めた。