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「そもそもなんでAちゃんが可愛すぎることが、そのオファーしてきたところにバレてるのかが謎なんだけど」
真剣な顔で呟く伊沢さんに、え?これはツッコんでいいのか?と少しだけ戸惑った。
「確かにね。何か心当たりある?」
至って真面目な様子でふくらさんにもそう尋ねられてしまったので、どうやらここはツッコむところではなかったということを知った。
『いえ、特には…』
と言いかけたところで、ふと私の脳内に数ヶ月前の記憶が蘇る。
『そういえば、随分前に赤門の前でテレビ?雑誌?の人がインタビュー?かスカウト?に来てたんですけど』
「疑問符多すぎるだろ」
鋭い須貝さんの一言に、私は眉を下げながら笑うしかなかった。
『メディアの人はよくいるので、さほど気にしてもなかったんですが、私も声をかけられまして』
最近の東大生ブームにより、各メディアでは伊沢さんに続く東大生スターを発掘しようと画策しているのだろう。
『“QuizKnockって知ってる?”って聞かれまして、うっかりライターをやっていることを言ってしまったような…』
その時声をかけてきたその人がキラリと目を光らせたのを、たった今思い出した。
「名前聞かれた?」
というふくらさんの問いに、コクリと頷く。
私のその行動を見た瞬間、その場にいた全員がうわ、それだわと口を揃えて言ったのだった。
もしかしてまずいことをしてしまったのだろうか。
オロオロしている私の横で、未だに隣に座る彼は口を尖らせたまま機嫌悪そうにしている。
そしてそんな彼に、ふくらさんが説得に入った。
「こうなったら仕方ないよ。せっかくオファー貰ったんだからさ」
その言葉に、彼が表情を明るくすることはなかった。
「伊沢、これもQuizKnockのためだと思って」
さらに追撃するふくらさんに、ついに彼が溜め込んでいた感情を爆発させた。
「Aちゃんがそんなアイドルみたいな扱いされるのやだ!!!!!」
そう言ってギャーギャーと喚き立てるCEOに、うわぁ…とドン引きする一同(私含む)。
その後も面倒くさいことをひたすら連呼する彼に、
「仕事とプライベートは分けてよ」
とついにふくらさんがビシッとド正論を述べた。
「そうだそうだ」
「心が狭すぎる」
「もうちょっと彼氏の余裕を持て」
「大人気ない」
とそれに続いて周りからは批難の嵐。
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年8月5日 12時