今日の二人【QK】 (ページ32)

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「俺が、Aちゃんに触る口実が欲しいからしてるの」

手から伝わってくる彼の体温が、いつもより少しだけ高い気がした。

「大好きな彼女に触りたいってだけの俺の単純な欲だよ」

彼は少しだけ瞳を揺らがせながら、照れくさそうにそう言った。

予想の範疇を越えた彼の答えに、私は一瞬ぽかんと口を開けた後、すぐに顔を真っ赤にさせた。

まさか彼がそんなことを思いながら毎日私の手に触れてくれていたなんて、思ってもみなくて。

だが、今思えばあの日私が彼の手に突然クリームを塗ったことがきっかけだったのか、なんて納得が行くこともあった。

目の前で恥ずかしそうに唇を噛み締めている彼が、可愛らしくて仕方なくて。

周りに他のメンバーがいることも省みず、思わず彼の胸に飛び込んだのだった。

突然抱きついてきた私に最初は戸惑った様子の彼だったが、すぐに柔らかく抱きしめ返してくれた。

彼がくれる愛情は本当にさまざまで。
時々それにすぐ気づけないときもある。

だが、おそらく彼が私にしてくれることすべてが愛なのだと、最近ようやく知ることができた。

そして、私も同じように彼にお返しができればいいなとあれこれ考えるようになって。

今はほんの少しでも、私の想いが彼に伝わりますようにと願いながら、彼の背中に回した腕に力を込める。

すると、彼が私にだけ聞こえるように小さく囁いてきた。

「ほんとはね、それだけじゃないんだ。クリームを塗ると、Aちゃんと同じ匂いになれるのも嬉しくて」

そう言った彼からは、爽やかなシトラスの香りがふわりと漂ってきて。

思わず顔を綻ばせると、すぐにその香りが彼の匂いと混ざって私に幸福感をもたらしてくれたのだった。