今日の二人【QK】 (ページ22)

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「ごめんね、シャツちょっと汗くさいかもだけど」

と今まで気になっていたことにようやく触れることができた。

先程まで晴れていたというわけではなかったが、それでも夏特有の湿り気を含んだ空気に俺の肌は若干汗ばんでいたのだ。

俺の言葉になぜかふふ、と微笑んでみせる彼女。

この状況下でそんなにご機嫌になることなどあるだろうかと、俺が不思議そうな顔で彼女を見つめると。

『いえ、伊沢さんの匂い大好きなので』

と彼女はへにゃりとはにかむのだった。

なんだそれ。
可愛すぎるだろ。

俺は今の今まで彼女に嫌な思いをさせていないかヒヤヒヤしていたというのに。

心を揺さぶるくらい可愛らしいことをいとも容易く口にする彼女。
そんな彼女が愛しくて、俺は感嘆の息をつきながら目を瞑って天を仰いだ。

「…それも無意識？」

思わずそれを尋ねてみたが、

『何がですか？』

と案の定質問の意図すら分かっていないようで。

はぁ、と再び息をつく俺を見て、彼女はえ？と声を上げる。

超がつくほど鈍すぎる彼女に、俺の悩みは尽きそうにない。

もう少し色々と自覚を持ってほしいなぁとは思いつつ、そのままの君でいて欲しいというのは、俺のわがままなのだろうか。