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大丈夫かなぁ、と思いながら髪を洗っていると、隣の洗面所から水を流す音が聞こえてきたのでホッと一安心。
その後鬼のような速さでシャワーを浴び終えた俺は、髪をタオルで拭きながらリビングへ。
そこに彼女の姿はなかった。
あ、これはもう寝室で寝てるなと確信した俺は、ひとまずソファに座りボーッとする。
明日は朝からの仕事がなくて良かった。
おかげで彼女とのんびり朝寝坊ができる。
先程までの性急さも忘れて俺はゆっくりと寝る支度をし、寝室へと向かった。
パチリと電気をつけると、案の定ベッドに横たわった彼女がすやすやと寝息を立てていて。
まぁそうだよな、と思いながら、あどけない顔で眠る彼女の頬をさらりと撫でる。
一瞬で眠りにつくほど意識がおぼろげなのに、しっかりと俺が入るスペースを開けていてくれる彼女を流石だと思った。
その柔らかい頬にキスを落とし、さて俺も寝ますかねと電気を消してベッドに入る。
彼女を起こさないようにそろりと体勢を整えると、寝ている彼女が無意識にぴったりと寄り添ってきた。
なぜ寝ていてもなおこんなに可愛いことをするのか。
うっかり彼女に伸ばしてしまった手をなんとか引っ込めながら、俺は胸の高鳴りを必死に抑えようとする。
すると。
ふと彼女が、俺の着ている服の裾をギュッと掴んできて。
この行動にもしかして彼女は起きているのではないかとも思ったが、変わらず規則正しい寝息が聞こえてくるので間違いなく寝ているようだった。
電気を消すと、彼女の顔が見えなくなってしまうのが悔しくてたまらない。
だが、その直後ふと彼女から囁くような声が聞こえてきて。
すぐに彼女の口元の方へ耳を向ければ、小さな声で離さないで、と寝言を呟く彼女。
あぁ、もう。
何度君は俺の理性をぶっ壊そうとしてくるの。
俺がどれだけ我慢してるか、分かってる?
ギリギリのところでなんとか持ちこたえることのできた俺は、はぁとため息をつきながらこう囁いた。
「大丈夫だよ、今までもこれからも一生離してあげるつもりはないから」
それは彼女に届かないことは前提として告げたつもりだったのだが。
彼女はふふ、と柔らかく声を漏らした後、再び寝息を立て始めたのだった。
あれ、起きてたのかな。
もうここまで来たらどっちでもいいや。
俺は彼女のまぶたにキスをして、その華奢な身体を腕に抱きながら深い眠りに落ちていったのだった。
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年8月5日 12時