今日の二人【QK】 (ページ28)

今日:3 hit、昨日:48 hit、合計:179,863 hit

. ページ28

私が作業部屋からいなくなったことを気にかけてくれた彼の優しさに、心の底からの感謝を伝える。

すると彼は何かを考えた後、無言で作業部屋へと戻って行った。

黙って行ってしまったことに違和感を覚えながらも、私は再びPC画面に目を落とした。

今日は記事を書いた後、動画の編集も任されているから頑張らねば。

そんな決意を胸にキーボードを叩き始めたところ。

ふと、ふわりと柔らかい感触に私の身体は包まれた。

驚いて隣を見れば、そこには暗めな色のブランケットを手にした彼が座っていて。

私と彼の身体を、一つのブランケットが包み込んでくれていたのだった。

驚いて硬直する私に、へへとはにかむ彼。

まさか、さっきはブランケットを取りに戻ってくれたのか。

予想を遥かに上回る彼の優しさに感動しながら、私は身も心も温かくなっていくのを感じた。

それにしても、なぜ彼まで一緒に？と私は疑問を隠せなかった。

私にかけてくれるならまだ分かるが、これではこの蒸し暑い部屋では彼が暑くて仕方ないのではないか。

不思議そうに彼を見つめていると、それに気づいた彼がにこりと笑いながら

「僕もほんのちょっと寒かったから」

と小さな声で呟くのだった。

それが彼の精一杯の愛情表現だと、さすがの私もすぐに気づいて。

彼と触れ合っている左半身が、徐々に熱を帯びていくのを感じた。

エアコンの風が苦手で仕方なかった夏、こんなにもそれに感謝した日はない。

「あったかい？」

彼にそう問われ、私の胸がキュンとときめく音がした。

『…うん。すごくあったかい』

それを伝えると、彼は私の左手をギュッと握ってくれて。

普段あれほどまでに天真爛漫に笑う彼が、突然こうして頼りがいのある男性になる瞬間に、私はたまにずるいと思う時がある。

いつだって彼は私にとって格好良い彼なのだが、それでもこのギャップに何度やられたことか。

急激に上がっていく体温を感じながら、私は彼の肩にこてんと頭を乗せ、ゆっくりと目を閉じた。