愛し方も知らない天才【QK】 (ページ11)

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愛し方も知らない天才11 ページ11

「はぁ…これ以上好きになる余地なんてないと思ってたんだけどなぁ」

これまでの彼女へと想いが100%だとしたら、今は150%,200%と振り切りそうな勢いだ。

彼女はふふ、と笑いながら、俺の背中をポンポンと優しく叩いてくれた。

「俺のこと幻滅してない？」

ふと押し寄せてきた不安を口にすると、

『あぁ…まぁ、格好良いところばかりではないんだなとは思いました』

とさらりと本音を述べる彼女。

俺がガーンとショックを受けていると、

『でも、ちょっと安心しました。伊沢さんも不安になることとかあるんですね』

と彼女は朗らかに笑うのだった。

そうだよ。
俺は本当はいつだって自分に自信がないんだ。

テレビに出る時は優等生に、Youtubeに出る時は少しふざけて。

どれが本当の俺かなんて訊かれることもあるけど、どれも俺であって俺じゃないんだ。

勿論そういう一面も俺の一部。
周りから望まれるがままに、それを演じてきた。

だけど、心の奥底ではいつも上手くできるか、自分にやれるのかと不安に思ってばかり。

そんなことを誰かに言えるはずもなくて。

だって、皆が望むのは“いつも自信満々で何でも知ってるクイズ王”だから。

俺だって完璧じゃない。
そう言い続けてきたけど、周りはあまりそれを信じてくれなくて。

初めてなんだ。
こんな風に、弱いところを人にさらけ出すなんて。

絶対、一生、誰にも打ち明けるつもりなんてなかったのに。

君には隠し通すこともできないんだ。

『…でも、そんな伊沢さんも好きです』

少し照れくさそうにそう付け加える彼女が可愛らしくて。

俺は彼女の耳元で、こう囁いた。

「俺は愛してるけどね」