生徒会に入ったら… ページ8
『有り難いお誘いではありますが、お断りさせていただきます。そもそも、私が首席で入学ができたのは本当に偶然ですし、生徒会に入ったら自分の勉強時間が減ってしまいますので』
東大医学部に入るという私の夢。
そこでさまざまな知識と経験を経て、私は患者一人ひとりに寄り添える医師になりたい。
小学生の頃病気がちだった自分の、昔からの夢。
それを目標に、今までだって遊ぶ時間も惜しんで勉強をしてきた。
私みたいな凡才は、天才以上に努力をしなければそれを叶えることができないのだ。
それに、入学早々こんな得体の知れない集団に入るなんて怖すぎる。
私が断りの意思を伝えると、福良さんは意外そうな目で私を見つめていた。
そしてふと何かを考え込んだ後、こんなことを尋ねてきたのだった。
「…うちの学校で生徒会長を務めた生徒は、東大入学間違いなしって噂は知ってる？」
唐突すぎるその質問に、私は思わず目を見開いた。
「あれは本当だよ。うちの学校で首席張るほど勉強してるってことは、君は東大を狙ってるんでしょ？生徒会長をやった人は、あの狭き門で有名な東大推薦入試合格ほぼ確実だよ。断言しても良い」
一切の悪意を見せずにこりと微笑む彼に、私は驚愕の表情を隠すことができない。
「1年から生徒会に入っていれば、3年になった時生徒会長の椅子に座ってるのは君だと思うけど？」
ここでそんな殺し文句を言われるとは、夢にも思っていなかった。
私はその悪魔の誘惑に、情けなくも気持ちが揺らいでしまった。
勉強時間は、確実に減る。
だが、自分の夢への大きな近道になるかもしれない。
ここで、“実力で東大に入ってみせる！”と啖呵を切れないことが悔しくてたまらない。
さまざまな考えが脳内を巡り続け、私はしばらくの間フリーズしてしまった。
「どうする？」
彼のその問いに、私は俯いていた顔を上げた。
もう、どうにでもなれ。
『…やります』
私が小さく呟いた瞬間、なぜか今まで黙っていた福良さん以外の面々がワッと沸いた。
「生徒会にようこそ！これからよろしくね！」
「入ってくれて助かったよ〜」
急にオレンジのネクタイの人と黄色のネクタイの人から声をかけられ、目をぱちくりさせる私。
「あんまりガツガツいくと引かれちゃうかと思って、ずっとクールぶってたんだよ」
と、黄色の人。
なんだそれは…。
そんなこんなで、彼らの策略にまんまとハマってしまった私の、生徒会加入が決まったのだった。
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Annie(プロフ) - Kyoko Kayamaさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しい限りです。更新できるように頑張ります！！！ (2021年1月7日 12時) (
レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
Kyoko Kayama(プロフ) - 更新求む (2021年1月3日 0時) (レス) id: 26c417e2e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Annie
| 作者ホームページ：https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時：2020年7月21日 12時
