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川上さんと初デートに行く話。10 ページ10

その後、エイやマンボウなど水族館で人気な魚をぼんやりと眺めた私達は、今までとは異なるコーナーへと足を踏み入れた。

『あ!川上さん!ペンギンいますよ!』

スイスイと気持ち良さそうに水の中を泳ぐペンギンと、陸でよちよち歩きをするペンギンがそこにいて。

『可愛い〜』

ぽってりした体型と、その独特な歩き方に私はすぐに目を奪われた。

「ペンギンて、実は脚長いんやで」

ぼそっと呟かれた彼の言葉に、私は眉をぐっとひそめながら振り返る。

『え!?そうなんですか!??』

魚の豆知識は叩き込んできたものの、それ以外は全くのノータッチだった。

あんなに可愛らしく歩いているのに、実は美脚かもしれないペンギンに、私は複雑な気持ちを抱かされた。

少し歩くと、そこにはアザラシがのんびりと昼寝をしていたり。
ラッコが得意の背泳ぎでプカプカ浮いていたり。

私達は水族館を大満喫。

その後、今度は少し低い位置にある水槽を上から覗き込むと。

そこにはのそのそと陸地と水面の間を歩いている亀の姿が。

「これ触れるっぽいけど」

『無理無理無理無理無理です!』

私は彼の手を離して物凄く遠くに避難した。

「なんで、可愛いのに」

彼は私の怯えっぷりを見て大爆笑。

『亀は!無理です!』

他のお客さん達にジロジロ見られながらも、私は隅っこの方でガクブル。

亀に別れを告げた彼が、笑いを堪えきれない様子でこちらにやって来た。

「そんな離れんでもええやろ」

彼は知らない。
私が昔、近所の男の子と川で遊んでいた時、ふとした瞬間に肩に亀を乗せられたことを。

あの日の記憶は一生忘れない。
いや、忘れることはできないだろう。

当時5歳だった私には十分すぎるほどのトラウマを植え付けられたのだ。

ブルブルと震える私の手を取り、彼は私を出口へと連れて行く。

ここでようやく全ての展示を回り終えたことを知った私は、亀から離れられたことにホッと安堵する。

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Annie(プロフ) - ひなたさん» ひなたさん、コメントありがとうございます。大事にお読みいただけて、本当に嬉しく思います。出来るだけ現実を忘れられるような、幸せなお話が書きたかったもので…。そう感じていただけて、私の方がお礼を申し上げなければならないくらいです。ありがとうございます。 (2020年7月2日 21時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - 後書きがある時点で今後は書かれることはないのだろう、と大事に大事に読ませていただきました。私も読みながら泣いちゃいました。このお話のkwkmさんが優しくて、消化出来ない色んな気持ちを大丈夫だよって勝手に言ってもらえたようでした。ありがとうございます。 (2020年7月2日 11時) (レス) id: f0ee8abf5f (このIDを非表示/違反報告)
Annie(プロフ) - ゆうかさん» ゆうかさんお読みくださいましてありがとうございました。温かいコメントをいただけて、本当に書いてよかったと心から思っています。これからも他のメンバーのお話を書いていければと思っていますので、引き続きお付き合いいただけましたら嬉しいです。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
Annie(プロフ) - 217さん» リクエストありがとうございました。絶対に今日中に書き上げなければと23:57に滑り込みで公開させていただきました。現実からかけ離れて、楽しんで読んでいただけることを願いながら書きました。宝物と言っていただけて、本当に涙が出るくらい嬉しいです。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました…! (2020年7月1日 7時) (レス) id: 41b5f36188 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09  
作成日時:2020年6月30日 23時

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