川上さんと初デートに行く話。3 ページ3
そういえば思い返すと、今までも彼と何かの話をしていると、主にお兄ちゃん組が「川上、良かったじゃん」と声をかけてきていたっけ。
あの時の私は何が良かったのかと首をひねっていたが、今思えばそういうことだったのかと心の中で身悶える。
だがそれほどまでに、私達のことを皆が応援してくれていた。
大きな感謝を抱きながら、私は思わず彼の服の裾を少しだけ掴んだ。
今まで気まずそうにしていた彼が、驚いてこちらを振り返る。
顔を赤らめながら、私は遠慮がちに彼の方を見つめた。
すると彼も腹を括ったのか、皆の方へと向き直りながら大きく息を吸い、
「皆にずっと応援してもらっていましたが、実はつい先日告白をして無事付き合うことになりました!」
と声を張り上げて報告。
私も皆にぺこりと頭を下げた。
0.5秒後、皆からは大歓声と拍手とおめでとう!という祝福の言葉が。
私が顔を上げると、そこには皆の笑顔が溢れていた。
「いや遅ぇよ!」
「もっと早く付き合えたでしょ」
「明らかに両想いだったのにね」
「気づいてないの本人達くらいでしたからね」
お祝いのコメントよりも、なぜかツッコミの方が多いことに苦笑する私達。
だってまさか、あの川上さんが私のことを好きでいてくれたなんて、信じられるはずもない。
こうして両想いになった今でさえ、信じられないというのに。
チラリと隣を見ると、彼は口を固く結んだまま照れくさそうにしていて。
そんな彼を可愛らしいと思ってしまう自分は、本当に彼のことしか見えていないんだなぁと実感する。
すると、CEO席に座っていた伊沢さんがこちらにゆっくりと近寄ってきた。
「川上、おめでとう。Aちゃんのこと、幸せにしてやれよ」
穏やかな口調で、ふわりと微笑む伊沢さん。
それに対して、川上さんは照れくさそうにしていた表情を一変させて
「はい!」
と力強く返答をした。
この時、彼と両想いだということを知ったときと同じくらい、心の奥底から歓喜が湧き上がってきたのを覚えている。
今でも人生で一番というくらい幸せなのに、これからもっと幸せになれることなんてあるのだろうかと。
感極まりすぎてこぼれ出そうになる涙を、必死に抑える私。
それと同時に、私ばかりでなく私も彼を幸せにしてあげたいと強く思った。
まだそんなことを口に出来る立場でもないけど、いつかきっと。
こうして、私と川上さんのお付き合いが周知の事実となったことで、本格的に私達の関係が始まったのだった。
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Annie(プロフ) - ひなたさん» ひなたさん、コメントありがとうございます。大事にお読みいただけて、本当に嬉しく思います。出来るだけ現実を忘れられるような、幸せなお話が書きたかったもので…。そう感じていただけて、私の方がお礼を申し上げなければならないくらいです。ありがとうございます。 (2020年7月2日 21時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - 後書きがある時点で今後は書かれることはないのだろう、と大事に大事に読ませていただきました。私も読みながら泣いちゃいました。このお話のkwkmさんが優しくて、消化出来ない色んな気持ちを大丈夫だよって勝手に言ってもらえたようでした。ありがとうございます。 (2020年7月2日 11時) (レス) id: f0ee8abf5f (このIDを非表示/違反報告)
Annie(プロフ) - ゆうかさん» ゆうかさんお読みくださいましてありがとうございました。温かいコメントをいただけて、本当に書いてよかったと心から思っています。これからも他のメンバーのお話を書いていければと思っていますので、引き続きお付き合いいただけましたら嬉しいです。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
Annie(プロフ) - 217さん» リクエストありがとうございました。絶対に今日中に書き上げなければと23:57に滑り込みで公開させていただきました。現実からかけ離れて、楽しんで読んでいただけることを願いながら書きました。宝物と言っていただけて、本当に涙が出るくらい嬉しいです。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました…! (2020年7月1日 7時) (レス) id: 41b5f36188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年6月30日 23時