初恋ノスタルジー10 ページ10
数週間後。
私はあれから毎日ずっと、彼のことを考えていた。
毎日のように書いていた記事が、まったく書けなくなってしまうくらいに。
周りの人には体調が悪いのか、悩みでもあるのかと散々心配されたが、その理由を告げることはできなくて。
高校の頃、クラスメイトが恋の悩みをひたすら語り合っているのを聞いて、自分とは一生無関係のことだと思っていた。
だが、それは違ったのだ。
あの時少しでも恋愛を履修しておけば、今これほどまでに悩むことはなかったかもしれないのに。
そう思ったら後悔の念が胸の底から湧いて出てくるようだった。
このままではライターとしての仕事を全うすることができない。
色々な葛藤に苦しんだ私は、PC画面をバタンと閉じ、勢い良くザッと席を立った。
そのまま足早に編集長のデスク目がけてツカツカと歩く。
驚き顔の伊沢さんに、私は真面目な顔でこう言った。
『ご相談があります』
自分でも血迷ったなとは思った。
曲がりなりにも上司にあたる人に相談をするなんて。
誰もいない会議室の隅に腰かけた私達は、真剣な目つきで話し始めた。
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年6月3日 21時