初恋ノスタルジー【QK】 (ページ6)

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初恋ノスタルジー6 ページ6

その晩。

今日の依頼元の企業が、ご厚意で食事会を開いてくださった。

ただの学生である我が身では、絶対に足を踏み入れることができないような高級料亭。

漂う風情と大人の雰囲気に慣れない私は、先程からずっとガチガチに緊張していた。

先方の社長さんは伊沢さんを大層気に入った様子で、2人でお酒を煽りながら談笑している。

さすが伊沢さん。
こういう場も慣れてるんだなぁ。

ぼんやりと2人を見ていると、ふいに視界の端に山本くんが映った。

その瞬間、バチッという効果音が聞こえるかのように、私達の視線が唐突に交わって。

いつものようにニコッと笑いかけてくれた彼に、私は思わず顔を逸してしまったのだった。

彼のことを意識しすぎて、今日は一日中ずっとこんな様子を繰り広げている。
これでは彼は私に避けられていると思ってしまいかねない。

だがどうにも昼間の一件以来、彼の目を見つめると、心拍数が急激に上昇してしまって。

平静を装うにもなかなか装えず、まるで不審者のような素振りをしてばかりの私。

今までの人生でこんなことは一度もなかったのに、どうしてしまったのだろうか。

これではただの愛想の悪い女である。

頭を抱えたまましばらく苦悩をしていると、ふと私の隣に先方の社長が座り込んだ。