恋した相手は、お兄ちゃんみたいな人でした。4 ページ4
数週間後。
私は街中を全速力で走っていた。
今日は動画の撮影日。
私が企画&画面外を任されていたのだが、なんと大学の課題を一つ忘れていた私は、今の今までずっと図書館に籠もっていた。
気づいたら集合時間間近となっていて、慌てて図書館を飛び出したのだ。
私が一番の下っ端なのに、遅刻するなんて最悪すぎる。
しかもただの手伝いではなく、今回の私は企画者だ。
ということで、かつてないほどのスピードでオフィスへの道のりを急いでいた。
いつもであれば多少遠回りでもなるべく大通りの方を歩くのだが、今日はそんなことを言っていられない。
少しだけ入り組んだ道や、路地裏をすり抜けて最短ルートを行こうと人気のない道を通る私。
すると、細い道の真ん中を柄の悪い男性3人が屯しており、私の行く手を阻んだのだった。
一刻も早くオフィスに向かいたい私は、どうにかしてその道を通りたかった。
『ご、ごめんなさい…』
とりあえず一声かけて通り抜けようと、私は小さく呟きながら彼らに近づく。
すると。
急にその中の1人が私の腕を物凄い力で掴んだ。
振り返ると、金髪でピアスをした眉毛のない男が私を見てニヤニヤしている。
『何ですか…?』
焦りと恐怖が一瞬にして押し寄せ、私の脚は小刻みに震えていた。
「俺ら今から遊びに行くんだけど、オネーサンも一緒に行かない?」
私の反応を見て、彼は楽しんでいるようだった。
後ろにいる他の男達も、同じような目で私を見ている。
『急いでるので…』
頑張って振りほどこうとしたが、彼の私の腕を掴む力は微塵も揺らがなかった。
それどころか、抵抗すればするほどその力はどんどん増していく。
『痛っ…』
あまりの痛みと恐怖に涙が浮かんできた。
助けを呼びたくても、身体が震えてまともに声を出すこともできない。
どうしよう。
見渡す限り、歩いている人は誰もいなかった。
もしこの手を振り払えたとしても、追ってこられた場合自分の鈍足のせいで逃げ切ることはできないだろう。
危機感が漂う中、なぜか私の頭の中に浮かんできたのは、大好きな彼の笑顔だった。
すると。
私の手を掴む男の力が、ふと少しだけ弱まった。
驚いて顔を上げると、そこにはたった今思い浮かべたその人が男の手首を握っている。
「は?誰だテメェ」
男は横槍を入れられたことに怒りを露わにさせる。
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Annie(プロフ) - ゆうかさん» ゆうかさんごめんさい、こちらでもコメントいただいていたんですね…!今気づきました…ご感想ありがとうございます!ハッピーエンド大好きなので、あまり暗い話は書けないんですよね(笑)本当にコメントありがとうございますー! (2020年6月10日 20時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - こんばんは!!最後までキュン死しそうになりながら読ませていただきました!!最初に片思いしてるって書いてあったので叶わないのかな?と思っていたのですが、ハッピーエンドすぎて幸せです…ありがとうございました…!!!! (2020年5月27日 0時) (レス) id: 41b5f36188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年5月25日 23時