恋した相手は、お兄ちゃんみたいな人でした。8 ページ8
かつてこんなにオフィスまでの道のりを長いと感じたことがあっただろうか。
隣には素敵すぎるナイスガイ。
私は恥ずかしくてなかなか顔が上げられずにいる。
彼は色んな話を私に聞かせてくれて、何度も思わず笑ってしまいそうになった。
だが、緊張のせいからかどうしてもぎこちない表情になってしまって。
決して彼の話がつまらないわけではなく、私の気持ちの問題なのだとどうにか彼には分かってもらいたかった。
人通りの多い道を歩く私達の前を、仲の良さそうなカップルがサッと横切った。
幸せそうな顔で腕を組んでいる彼らを、私は無意識に羨望の眼差しで見つめる。
すると、話題はなぜか恋愛方面へ。
「Aちゃんはさ、好きな人とかおらんの？」
まさか帳本人からそんな問いをされるとはこれっぽっちも思っていなかった私は、思わず飛び上がってしまった。
『いいいいないですよ！？』
懸命に否定すればするほど、嘘臭さが増していく気がした。
彼は私の奇妙な様子に動じることなく「そっか」と呟く。
彼に嘘をつくのは心苦しかったが、気持ちがバレてしまうよりはマシだと思った。
そして、もしやこの流れで彼の好きな人や彼女の有無を探れるのでは？と私の胸は少しの期待を抱く。
ゴクリと生唾を飲み込んだ私は、震える声でそれを問いかけた。
『須貝さんは、彼女さんとかいらっしゃらないんですか…？』
問いかけられた彼は、一瞬だけ表情を曇らせる。
この反応はどっちだと私は胸をドキドキさせながらジッと彼を見つめ続けた。
彼の返答によっては、私は今この場で失恋をしてしまう可能性は大いにある。
そう思うと、その答えを聞きたいような聞きたくないようなジレンマに苛まれるのだった。
彼が首を振ってくれるよう、心の中で天の神様にも仏様にも八百万の神様にも祈りを捧げる。
すると、彼は予想外にも真剣な顔つきでこう言ったのだった。
「彼女がいたことはあったよ。けど、結局俺が研究とかYoutubeとかに夢中になっちゃってさ。そういう男ってやっぱり女の子からするとつまらんってなるじゃん？」
珍しく声のトーンを落とす彼に、私はカッと目を見開いた。
0.1秒でも早く“そんなことないです”と言いたかった。
次の瞬間、
『私は好きです!』
と、私は言おうと思っていたことと胸の奥で思っていたことを取り違え、後者の方を口に出してしまった。
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Annie(プロフ) - ゆうかさん» ゆうかさんごめんさい、こちらでもコメントいただいていたんですね…！今気づきました…ご感想ありがとうございます！ハッピーエンド大好きなので、あまり暗い話は書けないんですよね(笑)本当にコメントありがとうございますー！ (2020年6月10日 20時) (
レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - こんばんは！！最後までキュン死しそうになりながら読ませていただきました！！最初に片思いしてるって書いてあったので叶わないのかな？と思っていたのですが、ハッピーエンドすぎて幸せです…ありがとうございました…！！！！ (2020年5月27日 0時) (レス) id: 41b5f36188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Annie
| 作者ホームページ：https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時：2020年5月25日 23時
