笑わない君に、恋をして。2 ページ2
「お疲れさまです」
1月のある日、いつものようにオフィスに川上さんがやって来た。
Youtubeの活動は卒業したが、引き続きQuizknockの社員として働く予定の彼は、変わらずここで仕事をする。
『あ、川上さんお疲れさまです!』
不意に現れた好きな人に、私は溢れんばかりの笑顔。
「皆は?」
『今日は企業案件の撮影で外出してますよー』
そう、今日私はお留守番だ。
本当は撮影について行きたかったが、記事の執筆がなかなか終わらない私は独りオフィスでPCとにらめっこ。
「そうなんや」
川上さんは特に気にすることなく、自分の席についた。
突如訪れた想い人との2人きりに、胸のときめきが止まらない私。
ただ、特に彼と会話することもなくお互いのキーボードを叩く音だけが部屋中に響き渡る。
何か彼が楽しんでくれるような話題はないだろうかと必死に考えるが、こんな時に私の頭はまったく働かない。
自分のトークスキルのなさを痛感した私は、その場で頭を抱えたまま撃沈。
「…何してんの」
そんな私を、川上さんが不審者を見るような目で見つめている。
『え!?あ、記事の執筆が上手くいかなくて!』
乾いた笑いで咄嗟に誤魔化したが、明らかに彼の瞳は笑っていない。
いつも彼に向けられるのはそんな視線ばかり。
出来の悪い私を見て呆れているに違いない。
しょんぼりしながらおとなしくPCに向き合う。
すると。
「ちょっと見せてみ」
川上さんがデスクチェアに座ったままこちらへやって来た。
好きな人との急接近に私は戸惑いを隠せない。
胸の鼓動がバクバクとうるさいくらいに高鳴っていたが、そんな私の様子にはまったく気づかない彼が、ジッと私のPC画面を眺めている。
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Annie(プロフ) - 217さん» ありがとうございます!共感していただけて大変恐縮です…!お話も楽しんでいただけて本当に嬉しく思います。これからも少しでも楽しんでいただけるよう頑張りますので、よろしくお願いします! (2020年5月13日 12時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
217(プロフ) - いつもお話を拝読している者です。いつも楽しく読ませてもらっています…!今回のお話があまりにも自分の気持ちを代弁してくれていたので我慢できずにコメントを書いてます。どのお話もだいすきです。これからも応援しています…! (2020年5月13日 0時) (レス) id: cc2f607952 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年5月12日 12時