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笑わない君に、恋をして。9 ページ9

『画面の中のあなたが好きでした。動画に出ている時だけ、川上さんは私に笑いかけてくださるんです。でも、現実の川上さんは私の前でなかなか笑ってくれません』

自分に言い聞かせるように言った。
思い上がるな、という意味を込めて。

しばらくの沈黙の後、一つ大きな息をついた彼がこう告げた。

「昔から好きな子の前では照れくさくて上手く笑えんねん」

私はそれを聞いて目を大きく見開いた。

今、なんて?

彼の表情を窺おうとしたが、彼に強く抱きしめられていたためそれは叶わなかった。

「鈍感すぎやろ。なんで気づかんの?」

彼はぶっきらぼうにこう続けた。

「皆にはバレバレすぎて、“いつ言うんだ”、“早く言ってやれ”ってずっと言われとったんやで」

え?どういうこと?
意味が分からなすぎてぐっと眉をひそめる。

だが、考えれば考えるほど自分の都合の良いようにしか受け取れなくて。

やっと身体を離してくれた彼の顔は、少しだけ赤かった。

そんな彼に、必死に考えてたどり着いた結論をぶつける。

『川上さん、私のこと好きなんですか?』

ドストレートすぎるとは自分でも思っていた。
けれど、回りくどい言い方ができるほどもう自分の頭は欠片も働かなかったのだ。

彼はため息をつきながら、こくりと頷く。
そのため息は、先程彼が言った“照れくさい”に直結することをなぜか悟った。

私は自分の意識とは関係なく、全身が大きく身震いするのを感じた。
地面に足がついていないかのような、ふわふわとした感覚。

川上さんは私と目を合わせてくれない。
いつも皆のボケに対して秒速でツッコミを入れる彼が、未だ何の否定もしないということが私に自信を与えてくれる。

あまりの歓喜に今すぐ叫び出したい気分だったが、ここは外でしかも夜更けだったため口元を両手で強く押さえた。

川上さんは私の方をちらりと見た後、無言で手を差し伸べてくれたのだった。

「ほら、もう終電ギリやから。早く帰らんと」

そう言って、固まる私の手を強引に取り、彼は走り出した。

そんな彼の後ろ姿が、なぜか眩しいくらい輝いて見えて。

その時私は、彼に笑いかけてもらえるようにこれからもっと頑張ろうと心に誓ったのだった。

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設定タグ:Quizknock , 川上拓朗 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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Annie(プロフ) - 217さん» ありがとうございます!共感していただけて大変恐縮です…!お話も楽しんでいただけて本当に嬉しく思います。これからも少しでも楽しんでいただけるよう頑張りますので、よろしくお願いします! (2020年5月13日 12時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
217(プロフ) - いつもお話を拝読している者です。いつも楽しく読ませてもらっています…!今回のお話があまりにも自分の気持ちを代弁してくれていたので我慢できずにコメントを書いてます。どのお話もだいすきです。これからも応援しています…! (2020年5月13日 0時) (レス) id: cc2f607952 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09  
作成日時:2020年5月12日 12時

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